夏、雨
ninjin
夏、雨
高校の早朝補習の帰り、僕は線路沿いを、自宅に向かって歩いていた。
雨がポツリと、降り始めた。
僕は空を見上げ、この先の天気を予想する。
雲は確かに多いのだが、所々その隙間から、薄い青色を覗かせる空は、この先、大雨にはならなそうな気もする・・・。
そう思った瞬間、大粒の雨粒ひとつが、ピシャッと僕の頬を叩くと、一気に、まるでシャワーのように降り出した雨に、僕は慌てて目の前の他所の家のガレージに飛び込んだ。
ガレージからほんの少し顔を出し、先ほどは見なかった頭上真上の空に目を遣ると、確かに真っ黒い雲が浮かんでいる。
西の方面の空は・・・。そこはさっきと同じで、青空さえ見えている。
まいったなぁ・・・。
ここでそのままやり過ごすしかなさそうだ・・・。
僕はスラックスのポケットから携帯電話を取り出して、LINEの画面を開く。
そして、ほんの一時間前に学校で別れた由美子に、LINEメッセージを送る。
『今、帰り道、土砂降りに会い、他人んちのガレージで、雨宿り中・・・
俺、最近、何か悪いこと、したっけ?ww』
LINE送信して、ぼんやりと雨を見詰めるていると、程なくして、LINE着信があった。勿論、由美子からだ。
『夏の天気はねぇ・・・。
大丈夫、それが行いのせいだとしたらきっと、雨宿りできる場所は、与えられないと思います。w』
・・・なるほど・・・
画面から目を離し、もう一度、ガレージの外を眺めてみた。
いつの間にか、雨は、細い糸状に変わっており、それは南東からの陽の光に照らされて、キラキラと美しく輝いているじゃないか。
今日も暑くなりそうだ・・・。
もう少し、降るのかな・・・?
僕は細い糸の水の中へ、駆け出した・・・。
おしまい
夏、雨 ninjin @airumika
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