俺の旅は、まだまだ始まってすらないぜ!

「こんちはー!」


「げ、何しに来やがったハル!」


「挨拶に来ましたそんちょー!!」


「帰れぇ!!!」


 ひっでぇや村長!このハゲジジィ!

 このいかにも村長ですって見た目のハゲクソジジィは、一応俺が住んでる村の村長。ずっと近くの森で魔力だけ増やしてたら、『何も仕事しない無能なのに強い有能なやつ』って評されて、気がついたら村長の嫌いなやつになっちゃってた。


「おうハル!何しに来たんだ?」


「挨拶周りだよケン!」


「遂に行くのか?」


「おう!どーせだここにいてもなんもなんねぇからな」


「そうかぁ…寂しくなるなぁ、元気でな!」


「おう!」


 このガタイのいいやつはケンだ。俺と同い年で、村一番の漢だ。めちゃくちゃいいやつで、ギリギリイケメンじゃないくらいの顔だが、多分村で1番モテてる。俺も女だったら落ちてた。というか何回か落ちかけた。


「よぉおやじぃ!元気かぁ!」


「うるせぇぞクソガキ!ってハルじゃねぇか!なんだぁ?今日出るのか!」


「おうよ!だから武器ちょーだい」


「しょーがねぇなぁ!これやるよ!」


 この元気なおっさんは、この村で1番元気な鍛冶屋のガルバ。弟子も何人かいて、いつも鉄か何かを打つ音が響いてるのだ。だから、会話は大きい声じゃないと届かない。


「なんだ?これ!棒か?」


「ああ!重さは正義だぞハル!」


「コレジャナイ感がすごいけどありがとな!元気でな!重さ至上主義バカ!」


「お前も元気でな!!ガハハハハハハ!」


 かなり重い棒をもらった。あの重い=正義を掲げてるおっちゃんがくれた重い棒だ。多分はちゃめちゃに重いんだろうな。……いや、なんで棒なんだよ!もっとあっただろ他に!まあいいけどね!


「おーっす、こんちはー」


「ハル君こんにちは、どうしたの?」


「今日出るから、あいさつとテントをもらいに来た」


「今日出るんだ…さみしくなるね」


 この人はティファ。この村一の美少女である。美少女である!正直この村で1番権力があるのはティファだ。可愛いは正義…正義なのだ…そして優しければジャスティス正義なのだ……


「今生の別ってわけでもないし、ちょっとのお別れだよ」


「そうだね、なら、ハルくんにこれあげる」


「すげぇ綺麗じゃんこのお皿、もらっていいのか?」


「うん。私の渾身の出来だよ」


 めちゃくちゃ綺麗な真っ白のお皿をくれたティファ。ティファは趣味でいろんなものを作ってはみんなに配っているのだ。


「ありがとう、家宝にするわ」


「ちゃんと使ってね?」


 ふふっと笑いながら言うティファさん。

 おい、誰だよ天使召喚したやつ。


「んじゃ、またな!」


「うん、またね」


 テントとお皿もらっちゃった。やったぜ!


 その後、40人とかいう多いようで少ない気がする人数に挨拶をしてまわった。


「んじゃ、そろそろ行きますかね!」


 目指すは最寄りの大都市、守護の街、辺境モリバース!

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