魔力の効率が悪いなら
もう日が沈んできた時間。さっきまでお昼だったのに時間が経つのは早い。……師匠とずっと言い合いしてただけだからかな?
「魔力操作は完璧以上なのによぉ。魔力操作の方が難しんだよこのアホ」
「魔力操作は動かすだけじゃん、簡単じゃん!でもなによ魔力に特性を持たせるって。『魔力さ〜ん、火になってくださ〜い』って願うのかよ」
馬鹿みたいじゃんやだよ!こんな俺にだって守りたいプライドの一つや二つあるんだぞ!
「お前の属性を乗せるんだよ!一番最初にやっただろ?あん時に感じたものを乗せるんだよ」
あの魔力を思いっきり外に出すあれ?初めはみんなやるって言って無理やりさせてきたあれ?なんも感じなかったわ!意味不明すぎて困ったわ!
「とても面倒くさい!難しい!いやだ!使いたくない!」
「クソガキが!なんだ使いたくないってよォ!」
もはや俺の誇りになってるもんね!はん!
「ケッ!もうやめだ!明日も早えぇし帰るぞ!」
「了解!」
夜ご飯はステーキでした。美味しかったです。はい。
やあ!みなさんお久しぶり!え?さっき見たって?あぁ、俺はこの5行の間に8年経って今18歳なんだ!あ、今初めて年齢言った気がする!けどまあいいか。
それで、今俺が何をしているかって言うと、旅の支度をしています。つい昨日、やっと成人の儀?式?的な何かをして、やっと外に出られるようになりました。
「ハンカチ、よし。着替え、よし。調理セット、よし。よし、よし、よしよしよしよし、全部よし!オッケーこれで行ける!」
総重量なんと100キロオーバーの荷物。それを『外見以上に入ります!』なマジックバックにぶち込む。
なんとこのバッグ、俺の自作なんです!外見以上なんてものじゃなく?なんと!人が3人暮らせるほどの広さを有し!中に入れたものの重さを感じさせず、時間も止まってるてんこもり!自作とか言ったけどマジックバックを魔力で無理矢理強化した物だけども!
「いよっしゃ!挨拶しに行くか!」
ここで、俺のこの8年間のことを皆さんに教えようと思う!挨拶っていったって「まあ、一応やっておくか」程度の挨拶。付き合いはそんなにないからね!はは!
閑話休題。
この8年間、いろいろあった。厳密に言えば5年間。そう、5年前、あれが今の俺を作ったと言っても過言じゃない。まあ5年前、師匠が旅に出て行っただけなんだけど。その時の師匠の言葉が俺を作ったってことだ。
『いいか?お前は魔力操作の精度はおそらくこの世で右に出る物がほとんどいねぇってレベルだ。だが、そんな力をお前はドブに捨てやがった。——なに、俺は最後の最後までやめろって言うつもりはねぇ。俺が言いてぇのはドブのデメリットを帳消しにしろってことだ。いいか?無属性魔法の、魔力の効率が悪いなら、魔力量を増やせ!これからは魔力を増やすことだけを考えろ!』
衝撃を受けたよね。まさか師匠も同じ答えに辿り着いてたんだって。
そこからは大義名分を得たから魔力増幅にのみを考えて生きてきた。結果としては俺もよくわからんレベルになった。後悔はしてない。
8年間のこととかなんとかぬかしたけども、結局はそれだけ。振り返ってみると何にもなくてめちゃめちゃ面白くなってきた。
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