「蛙女」という一読妖怪的、マンガキャラ的な主人公による、妖しくも一途な恋愛物語。どことなく童話のような雰囲気もありながら、ひたすら愛しい相手を思う女心は現代劇。同情や共感からじわじわと闇へ足を伸ばしていき、この手を離れていく様がたまらなかったです。ふと気づくと、心に入り込んだはずの蛙女の姿が見当たらない。そうして私たちも自分を見失うのかもしれません。