幕間 ある男のリベンジ

「……ったく、マジで酷い目に合ったな」

誰もいない、殺風景な部屋で男はつぶやく。物もロクに置いていないからか、ポツリとつぶやいただけでもいやに響き渡る。

かなりイラついているのだろうか。足を揺すりながら、缶コーヒーを一気に飲み干す。中身のなくなった缶を握りつぶすと、彼はボロボロになったズボンのポケットからスマホを取り出した。だが、スマホもかなり派手にひび割れており、とてもではないが操作できる状態ではない。

「クソ! スマホも買い替えなきゃか……」

男は動かなくなった箱を床に投げつけると、備え付けの電話を手に取った。番号は覚えているのだろうか。テンポよくボタンを押していくと、すぐに着信がかかる。

電話の相手はツーコールもしないうちに出てきた。

「あぁ、もしもし。久しぶり。急で悪いんだが……」

男は少し間を開ける。そして、気持ち悪いくらいの猫なで声で言葉を続けた。




「君のところの新人をプロデュースさせてくれないか?」

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地下アイドル、建国するってよ カラザ @karaza0210

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