時の流れ

第8話 お弁当

大介さん

あそこのレストランのランチは美味しかったでしょ

ああ

美雪さん

ありがとう

明日も行きましょう

いや、毎日は悪いよ

大丈夫

お父さんから

ちゃんとお金をもらうから

駄目だよ

お父さんに甘えてばかりいたら

今度、僕が給料を貰ったらおごるよ

本当、楽しみ

明後日だから

その時に行こう

わかった

翌日

大介さん

明日が楽しみね

恭介さん

お弁当を作ってきました

いやだ、この女

お弁当で大介さんの気を引く気でしょ

いや、違うよ

ありがとう

いえ

恭介さんに毎日、お弁当を作っていましたから

当然のことをしただけです

気になされないでください

ちょっと

ひかりさん

嘘をつくのは良くないわよ

美雪さん

いいじゃないか

せっかく作ってきたんだから

うれしいよ

ひかりさん

恭介さん

久しぶりのお弁当はどうでしたか

ああ、鳥のから揚げが美味しかったな

はい

恭介さんは鳥のから揚げが好きで

毎日、お弁当に入れていましたから

そうだったのかな

大丈夫ですよ

ゆっくりでいいですから

思い出してください

わかった

大介さん

この女は嘘つきですからね

信じたら駄目ですよ

美雪さん疑ったら駄目だよ

僕も前の記憶がないから

翌日

ひかりさん

おはよう

おはようございます

美雪さん

ひかりさん

今日はいつもお世話になっている工場に

この書類を届けてほしいの

お昼の11時に渡すことになっているから

帰ってくるのはお昼過ぎになるけど

いいかな

わかりました

でも

恭介さんに

お弁当を作ってきたのですが

渡していただけませんか

いいわよ

渡しておくから

大介さん

ひかりさんから

お弁当を預かっているの

あまり美味しくないと思うけど食べて

そんなことはないよ

わかった

ありがとうと言っておいて

うん

ただいま

大介さん

顔色が悪いわよ

ちょっとお腹の調子が悪くて

痛みもあるんだ

ううう

吐き気がする

わかった

トイレに行きましょう

大丈夫

ああ、もう大丈夫だよ

ただいま帰りました

ひかりさん

あなた

お弁当に賞味期限の過ぎたものを入れなかった

そんなことはありません

恭介さんのお弁当には

いつも新鮮で好物のものしかいれてません

いや、美雪さん

昨日、夕食を食べすぎたからだよ

ひかりさん

ハンバーグが美味しかったよ

え

私はハンバーグは入れていません

いや、ハンバーグが入っていたけど

どうして

あなた、大介さんのお弁当に何を入れたかも忘れたの

そんなことはありません

ひかりさんが勘違いしていただけだよ

こんないい加減な女のお弁当じゃなくて

明日、私が超美味しいお弁当を作ってきますから

楽しみにしていて

ああ、ありがとう

ひかりさん

気にしなくていいからね

恭介さん

私は本当にハンバーグは入れていません

大丈夫だよ

人間は勘違いがあるから

そんな・・・