第7話 嵐の予感
恭介さんも元気でした
よかった
おい、お嬢さん
昨日はお世話になりました
おかげさまで
恭介さんが働いている作業場の近くのホテルに
宿泊できるところがすぐ見つかってよかったです
ありがとうございました
あの男は恭介というのか
はい
私の夫です
突然、記憶を無くして
行方不明になりました
警察にも捜索願をだしたのですが
見つからず
恭介さんが高知大学だったこともあって
もしかしてと思い
ここまでフェリーできたところでした
そうだったのか
今からどうするんだ
それが・・・
そうだな、覚えていないからな
お父さん
何を余計なことを言っているの
美雪、大介はこちらのお嬢さんの夫だそうだ
お前は諦めろ
嘘よ
嘘に決まっているでしょ
どうせ
大介さんを好きで追いかけてきただけじゃない
いえ、恭介さんは
私の夫です
ほら
大介さんが来た
大介さん
この女は知らないでしょ
大介さんの妻だと嘘を言っているの
いや・・・
そう、言われても
それが全く覚えていないんだ
そうでしょ
この女はストーカーよ
きっと
違います
恭介さんは私の夫です
ストーカー女は帰って
美雪、言い過ぎだぞ
お前の名前は何というんだ
ひかりと言います
そうか、よければ
うちの作業所の事務員が一人足らないんだ
よかったら
うちで働かないか
お父さん
駄目よ
お前もやきもちを焼いているんだろ
だって、事務員は十分足りているでしょ
お前だけじゃないか
私一人で十分よ
いや、この間
お世話になっている工場へだな
提出しないといけない書類を忘れていただろ
わかったわ
おはようございます
ここの事務所は二人しかいないけど
私が上司だからね
あなたの方が年上のような気がするけど
しっかり仕事をしてね
わかりました
よろしくお願いします
挨拶はいいから
これやって
どうすればいいのですか
前の書類を見ればわかるでしょ
はい
あら
大介さん
私に会いにきてくれたのね
恭介さん
あなたはさっさと仕事をしていて
大介さん
昼食を食べにいきませんか
ああ、いいよ
大介さん
もう一度聞きますけど
この女は知らないでしょ
申しわけない
それが、よく覚えていないんだ
恭介さん
どうして
ほら、あなたが
ストーカー女だって証明できたわよ
お父さんに今のことを言うから
ああ、待て
可哀そうじゃないか
どうして
大介さんはかばうの
もしかして
本当に知り合い
それが
ほら、みて
あなた、さっさと事務所をやめて
帰ってよ
わかりました
恭介さん
近くのホテルにいます
どうか思い出してください
待っています
待て
可哀そうじゃないか
美雪さんはそんなに冷たい人だったのか
僕は優しい女性が好きなんだ
美雪さんにはがっかりしたよ
あ、いえ
ごめんなさい
ひかりさんに
ちょっと言い過ぎたわ
まだ、仕事を始めたばかりだからね
そこの書類はこう書くの
大介さん
ごめんなさい
昨日、眠れなくてイライラしていたの
私って今日はどうかしているかな
そうか
事務の仕事もストレスがたまるからね
僕は体力勝負だけど
この事務所も二人しかいないから
仲良くするようにね
わかりました
美雪さん
もう少ししたら
仕事が片付くから
それから昼食に行こう
はい
恭介さん・・・
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