第6話 再び

恭介さん

そういえば高知大学でしたね

もしかしたら

高知大学にいけば手がかりがわかるかもしれません

今から

すぐ向かいます

高知まではフェリーに乗らないといけないのですね

恭介さんはフェリーに乗ったのでしょうか

私がもっとつくしてあげたなら

辛い思いをしなかったかもしれません

待っていてください






大介

だいぶ、仕事が慣れてきたな


はい

大将、おかげさまで


今日は俺が一杯おごってやる

付き合え


はい


どうだ、仕事は


肉体労働ですが

やりがいがあります


そうか

それはよかった

ところで

俺の娘には手を出すなよ

わかったか


はい






大介さん

カラオケボックスに行かない


いや

駄目なんだ


どうして


まあ、いろいろあるからね


いろいろって

どういう意味なの

私のことが嫌


そんなことはないよ

素敵だと思っているけど


思っているけど・・・

どういう意味


おい、美雪

お前は男はまだ早い

早く事務の仕事を覚えろ


もしかして

お父さん


ああ、そうだ

大介と付き合うのはまだ早い


どうして

私はもう大人よ

いつまでもお父さんの

手の中で過ごすつもりわないわ


大介さんと付き合うの許さなければ

私は死にます


ああ、待て

わかった、わかった

仕方ないな

深い関係にはなるなよ

結婚するまでは駄目だ


何を大正時代みたいなことを言うの

馬鹿じゃない

大介さん

行きましょう


いや、駄目だよ


大丈夫よ

大介さんが付き合ってくれなかったら

本当に死にます

本当です


わかったよ

カラオケボックスに行けばいいのかな


じゃあ、行きましょう


ああ


ここよ

いい感じでしょ


そうだね


私、歌上手いでしょ


ああ


この曲、大介さん歌って


いや、知らないんだ


そうなの

あまり音楽は聴かないの


そうだね


わかった

じゃあ、散歩しましょう

近くに港があってフェリーが本州からつくの

夕暮れ時だし雰囲気もいいよ


わかった

そうしよう


ほら、ここよ

雰囲気がいいでしょ

手をつなごう


ああ


しばらく歩きましょう

あそこがフェリーの発着場よ

ちょうどフェリーが着いたみたい






恭介さん

今、フェリーに乗っています

高知にいらっしゃればいいのに

どうか、元気にしていてください

今、着きました

早く、恭介さんと会いたいです






大介さん、今日はお客さんが少ないのね

一人しかいない

女の人が一人よ

きれいな人ね







恭介さん

どうしてここの港に

やはり高知に来ていたのですね

会いたかったです


あんた誰


恭介さんの妻です


なにをふざけたことを言っているの


大介さんは私の彼よ

いい加減なことを言わないの


申しわけない

誰かな

君は


ほら

大介さんも知らないって

言ってるでしょ


恭介さん

私のことを忘れてもいいです

会いたかったです


やめて

大介さんに抱きつくのは

早くはなれてよ


恭介さん


誰かな


ごめんなさい

私がもっと優しくしてあげれば

こんなことにならなかったのに


いい加減にしてよ

あんた


わかりました


お~い

美雪

もう遅いぞ

心配したじゃないか

やはり港にいたのか

前の男とも

港でデートしていたから

ここじゃないかと思ったんだ


もう、悪いタイミングで

現れないで


お前は誰だ

恭介さんの妻です


なんだと

大介、お前は結婚していたのか


お父さん

ちがうって

この女がおかしいのよ


そうか

お前は高知に来たばかりか


はい

今、フェリーで到着したばかりです


そうか

今日はどこに泊まるんだ


お父さん

私と大介さんの邪魔をする気ね


違うよ

見知らぬ土地だから

教えてあげないといけないだろ


この、女なんて

ほっといて


俺の作業場の近くに旅館がある

今日はそこに泊まっていくといい


ありがとうございます


もう、お父さん

大っ嫌い


恭介さん

元気でよかったです


申しわけない

覚えていないんだ


かまいません

恭介さんが元気にしてくださっただけで

十分です










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