二人の料理対決①

「お料理対決~!」


 死神さんは、拳を天井に突き上げながらそう言いました。


「お姉さんには負けないから!」


「ふ、のぞむところだよ、先輩ちゃん」


 睨み合う死神さんと先輩。気のせいでしょうか。二人の間にはバチバチと火花が散っているように見えます。


「頑張ってね二人とも」


 僕の横で、二人に声を掛ける女性。


 ナチュラルショートの茶髪。ニコニコとした表情。そして、百人に聞けば百人が「イケメン」と答えるほどの整った顔立ち。


 そう。部長さんです。


「すいません。僕たちに付き合ってもらって」


「いいよ、いいよ。ボクも丁度暇だったしね。それに、君たちともちゃんと話をしてみたかったし」


 キラキラとした笑顔をこちらに向ける部長さん。何というイケメンな回答。僕が女性であれば、一発で堕とされていることでしょう。


「それにしても、部長さんのご両親は、家にいらっしゃらないんですか?」


「うん。二人は今旅行中だからね。キッチンは自由に使っていいよ」


 僕たち四人がいる場所は、部長さんの家。昨日、先輩が、「場所はこっちで何とかするわ」と自信満々に言っていましたが、まさか部長さんの家とは思いませんでした。


「さあ、始めるわよ、お姉さん」


「お~!」


 そもそもどうしてこうなったのでしょうか……。

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