第140話 じゃあね。マ……お母さん
「さ、あなた。帰るわよ」
「…………」
「もう、いつまで落ち込んでるの」
「…………」
「仕方ないわね」
呆れたような表情を浮かべるお義母さん。その目の前には、無言でテーブルに突っ伏したままのお義父さん。最初に放っていた迫力は、一体どこに消えてしまったというのでしょうか。
「二人とも、この人もう限界みたいだから、連れて帰るわね」
「えっと……またいつでも来てくださいね。お義母さん、お義父さん」
「じゃあね。マ……お母さん」
どうやら、まだ死神さんは怒っているようです。別れの言葉をかけてもらえなかったお義父さんの方から、「ガーン!」という音が聞こえたような気がしました。
「あらあら。じゃあ、またね」
そう告げて、お義母さんはパッと姿を消してしまいました。まるで、そこには何もなかったかのよう。お義父さんの姿もありません。
「……行っちゃいましたね」
「……ごめんね。パ……お父さんが、ひどいことして」
「いえ、別に。むしろ、今日、お義父さんと話ができてよかったです。いろいろ、考えられましたし」
僕の頭の中には、お義父さんから受けた百個の質問が、次々に浮かび上がってきていました。僕は、これから死神さんとどうなっていきたいのか。死神さんとどう接していけばいいのか。そして……。
今、変えなければならないことは何か。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます