第127話 マ……お母さんから聞いてるよね?
「……ふ、夫婦?」
「う、うん」
「誰がですか?」
「私と君が」
「…………」
「…………」
数秒の間、僕の思考は停止してしまいました。死神さんと関わってきて、思考が停止するのはこれで何度目でしょうか。
「あ、あれ? マ……お母さんから聞いてるよね?」
「な、何も聞いてませんが……」
「…………」
「…………」
気まずい沈黙。死神さんの顔から朱が消え、真っ青な表情に変化していきます。同時に、死神さんの体がワナワナと震え出し、そして……。
「マ、ママのバカー!」
幻聴でしょうか。お義母さんの「あらあら」というわざとらしい笑いが聞こえた気がしました。
その後、死神さんは、驚きの事実を語るのでした。
僕のもとを去った死神さんは、毎日のように溜息をもらしながら仕事をしていたそうです。ある日、そんな死神さんを見かねた新しい上司が、どうしてずっと落ち込んでいるんだと死神さんに尋ねたのです。
「私が、君のことを新しい上司に伝えるとね、言われたんだ。『それ、何とかなるかもしれないぞ』って」
実は、死神世界には、存在しているのにほとんど知られていなかった制度というのがあったそうで……。
「その制度っていうのが、『人間と結婚した死神は、人間世界に干渉する権利を持つ』っていうものでね」
「……何ですか、そのご都合主義みたいな制度は」
「ア、アハハ。私も詳しくは分からないんだけど、100年以上前に、そういう制度を作ったんだって。…………人間世界の女性とイチャイチャしたいって考えたお偉いさんが」
ええ……。
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