第121話 ……お義母さん、笑い方が怖いんですが

「……これ、なんて書いてあるんですか?」


 手渡された紙には、全く読めない文字がつらつらと書かれてありました。死神語というやつでしょうか?


「……………………さっき、話したでしょ。生きた人間を死神世界に連れていくには手続きが必要って。そのための契約書よ」


「今、不自然な間があったような……」


「…………キノセイヨ」


 プイッと僕から顔をそらすお義母さん。怪しさが満ち満ちています。気のせいでしょうか。僕の手にある紙から、まがまがしいオーラが出ているように見えました。


「えっと……」


 僕はどうすればいいのでしょうか。そもそも、何を書いていいのかすらさっぱりです。


「ま、まあ、書き方は私が教えてあげるわ。ほら、ペン出して。あと、判子も」


「は、はあ……」


 僕は、お義母さんに促されるまま、紙を記入することになりました。自分の名前を書いたり、判子を押したり。契約書であることは間違いないようですが……。


 そもそも、よく分からない契約書を促されるまま書く僕って……。


「……これ、お金がだまし取られるとかないですよね」


「そんなことはないわよ。フフフ」


「……お義母さん、笑い方が怖いんですが」


「フフフフフ」


 どうしてお義母さんは上機嫌なのでしょうか。ますますその怪しさが増していました。

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