第67話 私も!
「二人ともお疲れ様」
「お疲れ様です」
「お疲れ様だよー」
大会後。会場の外。ほんのり汗ばんだ体に、気持ちの良い風。
「先輩、すごいですね。準優勝なんて」
「いや、まだまだね。変なところでミスしちゃったのが痛かったわ。あれがなかったら勝ててたかも」
大会は、先輩が準優勝、僕が三回戦負け、死神さんが一回戦負けという結果に終わりました。自分自身、もう少し先に進めるかと思っていたのですが……。やっぱり、ブランクは大きいですね。
「まあ、あんたもすごいじゃない。S級で二回も勝つなんて。私じゃ一回戦でボロ負けしちゃうわよ」
「ありがとうございます」
僕は、先輩に向かってペコリとお辞儀をしました。こういったところでしっかりと褒めてくれるのは先輩らしいですね。
「私も! 私も頑張ったよ!」
「…………うん。まあ、そうね。頑張ってたわ……よ?」
「フフフ。でしょ!」
先輩の言葉にドヤ顔を浮かべる死神さん。困ったように顔を歪ませる先輩。
確か、死神さんの対局が終わった時、先輩はまだ対局をしていたはずです。つまり、先輩は、死神さんの対局を見ていません。死神さんが頑張っていたかどうかは知らないはずです。
……深く考えない方がいいのかな?
「それにしても……」
不意に、先輩がニヤリと笑いながら僕に視線を向けます。
「何ですか?」
「あんたって、お姉さんが他の男の人と話してる時、あんな顔するのね」
「…………へ!?」
先輩の言葉に、僕の心臓がドキリと大きく跳ねました。顔の温度がだんだんと高くなっていきます。
ど、どんな顔……? い、いや、そもそも、死神さんをチラ見してたことがばれて……?
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