第23話 ど、同棲……?
「上司に賄賂って、やっぱり死神世界の秩序は……じゃなくて!」
僕は、テーブルをバンッと両手で叩きました。手がヒリヒリしましたが、今はそんなこと関係ありません。
「ど、同棲……?」
「うん」
「同じ性別の……」
「それは同性」
「同じ一族っていう……」
「それは同姓」
「えっと……一緒に住むっていう」
「おお、今度は正解。その同棲」
死神さんは、パチパチパチと僕に向かって拍手をしました。
「これから私、君の大切な人になるんだから。同棲するのが手っ取り早いよね」
「いや……いやいやいや。さすがに急すぎます。いきなり同棲なんて……」
マイペースすぎる人だとは思っていましたが、まさかここまでとは……。そもそも、僕たちは、まだ会ってから日も浅くて……。って、その言い方じゃ、何回も会って親しくなれば同棲OKみたいな……。
「……だめ?」
死神さんは、首を少し傾けながら僕をじっと見つめます。その赤い瞳は、ウルウルと潤んでいました。
「…………」
「…………」
僕たちの間に、沈黙が流れます。僕の口からは、なかなか言葉が出てきません。それは、僕の心にまだ小さなしこりが残っていることを意味していました。本当に、これでいいのかと。再び、僕は苦しむことになるのではないかと。
「えっと……もし、だめだったら……」
長い長い沈黙を破ったのは、死神さんの声。その唇は、微かに震えていました。
……ああ、そうか。もう、答えなんて、最初から決まってる。
「僕は……」
死神さんの言葉を遮るように、僕は言葉を紡ぎ出します。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます