第22話 ……し、死んでる

「いっただきまーす」


「いただきます」


 テーブルの上には、先ほど近くのコンビニで買ってきたサンドイッチ。いつもなら、食事は自分で作ることが多いのですが、最近ろくに買い物をしていなかったせいで、朝食を作ることができなかったのです。


 死神さんは、パクパクと夢中でサンドイッチを頬張っています。死神といえどもちゃんとした食事が必要なのだということを、僕は今日初めて知りました。


「いやー、久々にまともな食事だよ。最近は、いろいろ忙しくて食事も全然とってなかったから」


「……そういえば結局、死神さんは、この三日間何をしてたんですか?」


 死神さんは、「やりたいことができたから」と言って、三日間、僕のもとを離れました。その間に何をしていたのか、僕はまだ聞いていません。


「あー……えっとね」


 死神さんは、サンドイッチを食べる手を止め、人差し指でポリポリと自分の頬を掻き始めました。その顔には、ほんのり朱が差しています。


「実は……君と同棲する手続きしてたんだ」


「…………はい?」


 皆さんは、思考が止まるという経験をしたことがあるでしょうか。僕はあります。そう、今この瞬間です。


「大変だったんだよ。親を説得したり、仕事先の上司に賄賂渡したり。その他にもいろいろ……」


「…………」


「……あれ? おーい。どうしたのー?」


「…………」


「……し、死んでる」


「は! あ、あれ? 一瞬、意識が……」


「あ、生きてた」

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