終:エピローグ
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部屋の一室に老齢の女性がベッドに横たわっていた。
「あぁ、カイエル・・・近くにいるの・・・かしら?」
「もちろんお前の傍にいるよ。俺は約束しただろう?」
カイエルは、年老いて目がもうよく見えてない女性のしわくちゃの手をそっと握った。
「そうね。もう・・・お祖母ちゃんになっちゃっ・・・たけど。」
「当たり前だ。人間は歳食えば、老人になるもんだ。それに外見なんざ俺にはどうでもいい。」
カイエルはぶっきらぼうに言った。
「ふふ、いつも・・・そう・・・言ってたわね。」
老齢の女性はクスリと笑った。
カイエルはいつも「外見なぞ気にしない」と、言っていた。人間は歳を重ねれば、外見も当然そのように変化していく。だけどカイエルの姿は年を取ることはなく変わることはなかった。
「あの子たちは・・・元気にやってるの・・・かしら・・・」
「あぁ、気配は感じるから、元気にやってると思うぞ。」
「そう・・・ならよかった・・わ」
老齢の女性は安心したように、一息ついた。
「あのね・・カイエルすごく・・・眠いの。」
「そうか・・・・」
カイエルは、その意味がわかっていた。
「次に目が覚めた時・・・私は、どんな・・・姿になっているの・・かしら・・・」
「お前の魂の輝きは変わらない。どんな名前になっていても、どんな姿になっても俺は探し出すさ。」
「ふふ、その時を・・・待ってるわね。」
「あぁ、だからセレスティア。しばしのお別れだ。」
「うん・・・」
セレスティアはカイエルに握られている手を強く少し強めに握り返した。
「カイエル・・・愛してるわ」
「セレスティア俺も愛してる」
カイエルは横たわるセレスティアに口づけをした。
そしてセレスティアは満足そうに瞼を閉じ、それから目を開けることはなかった。
「・・・セレスティアっっ!!」
カイエルはセレスティアを抱きしめ、金色の瞳からは涙が零れていた。
カイエルは、フェリス王国を見渡せる、とある山の山頂にいた。
「セレスティア、次に出会えるお前はどんな姿だろうな・・・」
そして踵を返した。
「カイエルもういいのかえ?」
「あぁ。」
それを合図に『竜の祖』達は山頂から次々と竜の姿に変化して、飛び立っていった。
最後に残ったカイエルはもう一度フェリス王国を振り返り、
「セレスティア、俺は必ずお前に会いに行く。」
そして、竜の姿になって飛び立った。
___ 私達は『番』の生体に合わせて化身する。それは時に陸を駆ける馬であったり、海で泳ぐ魚であったりと、都度生体は変わるけれど、中にある魂の輝きは何ら変わることはないから・・・私達はその色を間違えることはない____
ー完ー
※最後までお読みくださり、ありがとうございました!
【完結】竜騎士の私は竜の番になりました! 好文木 @ichi-ka
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