5-1 ハイキャンプ

コトン


「さて、やるかな。」


 俺はコーヒーが入ったマグカップを机に置いた。

 新しく家を建てた事もあって新しく日課を作ったのだ。


 これからもっと強くなり、たくさん稼いで自堕落な生活が送れるように。


 俺は自室に行き剣を取り、庭に向かった。


((よし、今日も素振りやるぞ。))


 そう。トレーニングを日課にしました。


 まず日の出と共に起き、朝食を済ませたら素振りを200本。ただしこの素振りは回数を稼げばいい素振りではなく綺麗な型を体に覚えさせる為の物。

 綺麗に10回振れればそこで終わり。


 ただそう上手くは行かないので結局は200本振っている。

 それが終われば体力増強のための走り込み。

 我が家はセルンドの南端。街の中央にあるギルドまでざっと25キロ。これをちゃんと走り切る。


 普段は家からギルドまでは馬車が通っているので交通機関はある方だと思う。


 そうして今ギルドの前に立っている。

 ただ俺のパーティメンバーは早起きが苦手中の苦手で後一時間くらい起きて来ない。


 ので最近ママ友的なノリの朝友ができたのだ。


「今日もいつも通りだな。ユウキ。」


 このメチャクチャガタイが良くて高身長でイカつい目つきの栗色ヘアーが朝友のエレボスだ。


「よう、そんじゃこのオンボロギルドでまたお茶でもしますか。」


 そう言いながら俺たちは重たい扉を開けた。


 ギルドは大抵どんな街にも存在し、冒険者稼業をしている奴らにとっては大切な場所だ。

 ギルドはその街の顔とも言われるくらい大切でもある。


だがセルンドのギルドは商業に力を入れるがあまりこの様だ。


 壁は汚れ、看板は傾き、扉は重たい。


 エレボスの話によるとギルドが大きい街は自動扉なんだとか。


ギー。


まったっく。羨ましい限りだ。


 重たい扉が鳴くとギルド内はいつもの喧騒が聞こえた。

 朝っぱらから酒を飲みまくっている奴がいれば、朝から換金の額がおかしいとギルド職員に怒鳴り散らかしている奴もいる。


 俺たちはそんな奴らなど気にも留めずギルドの扉から一番遠いカウンターの席に腰掛ける。


「すいません。チキン2個とスポォツドリンク?とヨイタ下さい。」


 そしてここでインドラ達が来るまでエレボスと語り合うのが1日の流れだ。


 エレボスの実力は相当のものでギルドから度々Sランクと称される極秘任務を卒なくこなしている。

 さらには大体のモンスターも討伐済みでモンスターの生態や弱点なども分かっているのでエレボスはその知識をギルドに提供しているらしい。


 なぜそこまでするのか。と聞いたことがあった。

 それほどの知識と実力がありながら普段はクエストもせず情報をギルドに渡したところで報酬は貰えない。


 ただエレボスは言った。


 エレボスはここまでの実力を持っておきながらまだ25歳である。

 昔は4人組のパーティで色々なクエストをこなすこの街の有力パーティだった。


 しかしある時カオスドラゴン3体と戦うことになり、エレボス以外の3人は殉職。エレボスも相当な深傷をしてしまった。


 結局のところカオスドラゴンは討伐したそうだがこちらの被害も尋常ではなかった。


 それからは無駄に人が死なないようにギルドにモンスターの情報などを渡したり、冒険者強化のために練習会なんかも開いているそうだ。


 そしてパーティメンバーとの思い出はどんなに金がなくて食費が苦しくても、大金持ちになって打ち上げをしたとしてもずっと食べていたチキンは今でも食べている。


かっこよすぎだろ。


「さて、昨日は俺の話をしたしそろそろユウキの話も聞かせろよ。特にこの街に来る前の話とかよ。」


 俺はそう言われたので転生したことと龍の力があること以外話した。


「なるほどなぁ。お前がいた国には空飛ぶ鉄のアーティファクトや高速で陸上を走るアーティファクトなんかもあったのか。」


「あぁ。そのアーティファクトは便利で国民の使用率は9割近くにも登るんだ。だからこそ事故は起こる。物が高速で動いたり、考えられないくらい高くまで空を飛ぶんだ。一つの転機でたくさんの人が亡くなる。だから俺の唯一の親友はその空飛ぶアーティファクトで亡くなったんだ。」


 今でも俺の唯一の親友 アルデバ・ランドロフィックは日本発アメリカ行きの飛行機が墜落して命を落とした。


 エレボスはそうか。と言い少し冷めてしまったチキンを一口。


「なるほどねぇ。ユウキにそんな過去があったとは。んで、そのまま義務教育の中学は無理矢理通って、高校に入ったら気持ちを入れ替えて頑張ろうとしたのも束の間、半年で何もかも身に入らないで中退して今に至るわけね。」


「のちの展開まで説明ありがとう。インドラ。ただいつから来てた!」


 いつの間にか俺とエレボスが座っていたテーブルにインドラとヒカリも座っていた。


「でもさ、ユウキこんなに一緒にいるのにこういうの言ってくれなかったのによく知ってたねインドラ。」


「まーねー。まぁ?ユウキは小っ恥ずかしくなって言ってくれないでしょうけどね。」


 ほっとけ。


「ほら、さっさとクエストこなしてゆっくりするぞ。」


 エレボスが口を開く前に俺は口にした。


「今日も気をつけろよ。だろ?」


 エレボスはフッと笑った後ハッと何か思いついたようだ。


「あぁ。行ってこい。あ、そうだ。明日、お前ら暇か?もし暇なら重装備で来い。」


「明日も何も変わらずの日々を過ごす予定だったし平気だぜ。」


 俺らは明日のエレボスのすることが気になったのでその日は軽めのコボルト5体討伐にし、すぐに体を休めた。







 エレボスとの約束の時間に間に合うように起きたのだがインドラがトイレで二度寝をかましてくれたお陰で遅刻してしまった。


「おっ。やっと来たか。」


 遅刻したがエレボスは特に責めることせず淡々と話を進めた。

 普段ジャージ姿だったエレボスが重装備だとあまりにもギャップが違い過ぎる。それ故に女性ギルド内で隠れファンクラブができるのも納得だ。


「よし、それじゃあ今からハイキャンプを始める。」


「は、ハイキャンプ?何だそりゃ。」


 どうやらヒカリはハイキャンプとやらがどういうものか理解してそうだ。

 インドラは…雰囲気に合わせて分かった気でいるだけだろう。

 インドラがわかる訳もない。そう。このインドラが分かる訳が無いのだ。


「って思ってる辺りとっても不快なのよね。私とて何もせず天界にいたわけじゃないんだからね。」


 やだ、怖い。

 ゼウスといいインドラといいなぜ神様は人の心が読めるのだろうか。

 そういうスキルだったりするのだろうか。

 それとも長く生きた勘という奴なのだろうか。


「ユウキはたまに無知な時あるよね。」


 俺は悪かったな。と小声で言い、回答の答えを待つ。


「ん?あぁ。ハイキャンプについてか。簡単なことだぞキャンプをしながら2つ3つのクエストをこなして行くっていう奴だな。戦闘経験を一気に増やせる方法としてギルドも推奨しているくらいだしな。」


 というかギルドにあるクエストの量多いからそれの消費のために推奨してるんじゃ…。


「それでエレボスさん。今日は何のクエストを?」


 エレボスはふっふっふと笑った後クエストの依頼書を見せてきた。


「今回はハイオークの巣の駆除とダブルヘッドラビット3体の討伐。」






ステータス


浮島うきじま 優樹ゆうき Lv.1

 能力《アビリティ》 ??

 技能スキル 無し

 剣技 肩並行斬 進化 肩斬

ビクトリースラッシュ

 魔法【初級】

    ファイヤー

    ウォーター

    アース

【中級】

ゲイル

ライジング

コリエンテ

ゲイル

【準中級】

フリーズ


龍化 ドラゴンブラスト

ドラゴンブレイカー

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俺に自堕落な生活を下さい 土ノ子 @kokiorezida

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