第2話

 いつもどおり、深夜2時に投稿した。

 投稿するとすぐに絵が世界のどこかにいる人々に見られていく。

 一瞬で閲覧数が3桁になった。

 その瞬間が何よりも代えがたい嬉しい瞬間でそれと同時に怖い瞬間でもあった。

 コメントが付いていく。

 うまい。きれい。かわいい。好み。尊い。

そのコメントを胸に刻みつけるようにして見ていく。

 私は、絵を描くのはあまり好きではなかった。でも、彩のおかげで絵が好きになれて私は今、こうやって絵を描けている。

 きっと今も絵を一生懸命描いている彩にラインを送る。

「寝よ」

 私は液タブを仕舞い、スマホを充電する。

 ぺちゃんこの布団に入り込み目を閉じる。


 私には才能がない。

 だから今日も描かなければいけない。

 少しでも憧れの彩に近づくために。





「「私には才能がないから」」



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Moody Color 宵町いつか @itsuka6012

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