晴れのち雨

アウター

第1話

キーンコーンカーンコーン


今日最後の授業の終わりを告げるチャイムが鳴り担任の先生が来るまでの間に帰る準備をしている時の事だった。机の奥底に入っていた1枚のルーズリーフ。きれいな字で


放課後屋上に来てください。

橋本彩花


と書かれていた。

まさかまさかである。勉強は平均、運動も平均。なにか秀でた何かがある訳でもないのに好きになってしまった女子からこの手紙。受験生なのに最近何もかもが上手くいかなく将来の事を考え病みがちになっていた。その中での唯一の支えが人から頼られるという事。自分は必要とされているという事を感じれて非常に心が満たされるのだ。しかもそれが好きな人に頼られるなんて思っても見なかった。

そして、「今日夕方から雨キツくなるらしいから早めに帰れよ。」と言う担任の先生のお言葉によりSHRが終わるとみんな部活やら帰宅やらを始める一方俺は屋上へと向かう。

心地よい風が頬を掠める。三分ほど待つとガチャとドアの開く音がした。入口の方を向くと俺の好きな女子が来た。なにかしらの用があったとここでホッと一息。


「それでなにすればいいですか?」


「え...っと、その...」


「?」


「好きです!付き合ってください!」


「いや...え?ほ、本当に?」


茜色の空が顔を焼く。まさかの告白。どんな雑用でも好きな人に頼られるなら何でも喜んでやると思っていたのにまさかの告白。自分は好きな人に愛されていたということ感じ涙が溢れそうになるのを何とか抑え


「俺もずっと好きでした。俺なんかで良ければよろしくお願いします。」


「いや、これ罰ゲームなんだけど。なんかごめんね。」


と、苦笑いをし足早に去っていく。天国から地獄とはまさにこの事。どうしてこんな仕打ちを俺にするのか。俺はなにか悪いことでもしただろうか。本当に好きだっただけに受けるダメージも多く今度こそ涙が溢れて来てしまった。

何分泣いただろうか。こんなに泣いたにはいつぶりだろうか。気がついたら雨がポツポツと降ってきた。だがそんなことも気にならない位に落ち込んでいた。ここ最近でもここまでしんどくなることは無かった。俺はただ何も考えず屋上の柵に手をかけ下を見下ろすのだった。



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晴れのち雨 アウター @motul

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