『小學句讀』序(6)

『小學句讀』序

 子朱子小學の一書、其の教え明倫めいりんに在り、其のよう敬身けいしんり、蓋し聖と作るのもといなり。



 ー 『示蒙句解』による注 ー

 ・れより以下は、『小學』の書の大意をといている、「子朱子」の上の「子」の字は、先儒をたっとみて、師とする詞である。ただ朱子とばかり云う時は、なべて(並べて、総じて)師とすべき人を云う詞なるために、また上の「子」の字を加えて、わが師とあがめる意をしめしている。


 ・「明倫」とは、人倫をあきらかにするのである、この書のむね(旨)として教える所、明倫にあるのである。


 ・「要」は、かなめと云う義(意味)である。「敬身」とは、身をつつしむのである、この書の簡要とする所、敬身にあるのである。けだし(思うに)人倫は、五つの道であるといえども、これをおこなう(行う)ことは、一身にある、このために、よくその身をつつしむ時は、五つの間におこなう所、皆なその道にかなう、しかれば(そうであるならば)立教・明倫・敬身は、小學の三つの綱領であるといえども、立教は明倫・敬身の教えを立てるにすぎず、敬身はまた人倫を明らかにすべきがためにその身をつつしむことを教えるのであれば、この書の教えは、すべて明倫の一つに歸(帰)するのである。


 ・「蓋し」とは、語をはじめる詞である。「もとい」は、屋の地形である、物のはじまる所を云う、小學の道よりまなびはじめて、ついに聖人となるにもいたることができる、その道は今、この書にのせてあるので、即ちこれを聖となるの基であると云う。

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