『小學句讀』序(4)

『小學句讀』序

 さいわいにして今の道化どうかまささかんなるにい、小學有って以て始めをし、大學有って以て終りをし、選擧せんきょみち有って、でて學ぶ所をおこなって以て人に及ぼす、なんた學ぶ所以ゆえんを思わざらんや。



 ー 『示蒙句解』による注 ー

 ・是れより以下は、そのかみ(上)道化どうかの盛んなることを云う。


 ・小學の教えありて、道をまなぶの始めを成就じょうじゅする。


 ・大學の教えありて道をまなぶの終りを成就じょうじゅする。


 ・「選」は、えらぶ、「擧」は、あげるである、士の才德ある者をえらびあげる、れは科擧かきょの法である。まず天下・國中の郷里に、おのおの擧主きょしゅの官人があって、學者の科擧かきょおうじてたる者をあつめ、經義・論策の題をいだし(出し)て、面々のおもわく(思惑)を、文章にかかせ(書かせ)て、その學をこころみ、そのしなをさだめる、是れを郷試と云う。そのすぐれたものを、えらびとりて、京都へすすめるのを郷貢と云う。內裏だいりにてまた省試・殿試があって、郷貫の士をえらびあげ、官職をさずけられるのである。


 ・世にいで(出で)みやづかえ(宮仕え)して、小大の學にてまなんだ所を、おこない(行い)いだし(出だし)て、人民に及ぼすのである。けだし(思うに)すでに己をおさめた(修めた)時は、則ちまた人をおさめて(治めて)これをやすんじ、これを教えることは、學者のこころざす所である。


 ・道化のさかんなること、このようであるのに、どうして聖道のまなびようを、思わないのであるのか。


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