第9話 スローライフを楽しむ終末

がしゃん


騎士が後ずさり、


「……プ」


「プ?」


「……プレイヤーは、頭上にキャラクターの名前が浮かんで見える。それ故、名前を知ることは不自然では無い」


「プレイヤーとかあるの!?これゲームの世界なの!?俺何も見えないんだけど、俺はNPCなのか!?」


「……掲示板によると、終末少女側のプレイヤーのみ、他キャラクターの名前を知ることができるらしい」


「攻略掲示板とかで情報交換されてるの!?超見たいんだけど!?」


「……勇者殿、落ち着いて欲しい。話が進まない」


……なんか……釈然としないんだけど……


「分かった……で、本題って何だ?」


というか、偶然会った筈なのに、本題?


どさ


騎士が、地面に武器を落とす。


「使え。貴方が使う事に意味がある」


「……これは……俺に使えるのか……?」


ハープに……大剣……?


「貴方には扱えない。貴方の仲間の終末少女にでも渡すと良い」


「何で俺に仲間ができたのを知ってるんだ!?しかも、丁度良い武器種!?」


「ふむ。偶然だが、丁度良かった様だ。それは僥倖」


「偶然とかいうレベル!?」


……PT情報とか覗けるんだろうか?


「申し遅れました。私は、佐々木零次です。貴方は?」


「私はただの終末少女。それで十分だ」


名乗っては貰えないらしい。


「名前も……当然ステータスも教えて貰えないのですね」


騎士は、がしゃんと兜を振ると、


「参考までにステータスは見せておこう」


「良いの!?」


「決して対抗意識を燃やしている訳ではないからな」


「思ってませんけど!?誰に対抗する必要があるの!?」


ガシャコン


騎士が、右手の籠手をパージする。

出てきたのは……綺麗な、細い、女性の手。

……可愛い。


鎧を着ていたせいだろう。

じっとり汗ばみ、温度の高い手を。

そっと握り。


################

LV:136

CLASS:6

STR:SS

DEX:A

VIT:F

AGI:F

MND:A

MAG:F

スキル:

 愚者ザ・フール

  体力、速度、魔力が0になる。

  筋力と命中が大幅に強化される。

 戦車チャリオット

  支援スキルが無効になる。

  妨害スキルを受けると強化される。

  魔法耐性が大幅に強化される。

 パワー

  魔法が使えなくなる。

  筋力が大幅に強化される。

  相手の防御や耐性を貫通し、純粋なダメージを与える。

 タワー

  魔法が使えなくなる。

  実質の生命力、防御力が、筋力依存になる。

  重装備による行動制限を反転させる。

 ムーン

  速度が上昇するほど、実質の速度が低下する。

 速度と筋力の差が大きい程、実質の速度が増加する。

神具:

 槍:SS

 重鎧:S

 盾:S

################


「反則じゃん」


デメリットがデメリットしてないじゃん。


「スローライフを楽しむ終末少女なんて、みんなこんなものだ。まあ世界は広いと思い給え」


まじかよ。

ニュートラルの終末少女やべー。

何とか勧誘できないかなあ……


「夜も遅い。今日は街まで送ろう」


「あ、でも、飛鳥が……」


「貴方の連れの女性なら、もう街に向かった様だ。貴方が街についた1分後くらいに街に着くだろう」


「どういう原理!?」


……いや、この前も言うとおり合流できたけどさあ……

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終末少女 赤里キツネ @akasato_kitsune

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