第2話 賭けるのは命

 何でだ…?何でそんな超能力みたいなのが…?色々と考えて一つ分かった。

 「そうだ、カードだ…。」

ゲームの説明文には<武器とカードを駆使して>とあった。となると…僕にもさっき渡されたカードがあるはず。なんとか今の状況を打開できるのは…?

目の前にはナイフを持って切りつけようとしてくる狐面の男。横と後ろは土の壁で塞がれている。

 僕は持ってるカードから必死に探す。すると、<脚力強化>のカードがあった。見様見真似で指を上にフリックしてカードを発動する。特に変わった気はしない。でも、これしか思いつかない。

 「頼む…!」

僕は足で地面を思いっきり踏みつけた。周囲の土が抉れ、狐面の男に向かって飛ぶ。

 「っ…!」

一瞬だけ狐面の男が怯んだ。まぁ今はそれで十分だ。気が緩んだ狐面の男を押し倒すと、走ってその場から離れる。

 「他に…使えそうなカード、、、これだ!!」

 僕は水のカードを使う。周囲に兎に角水を撒き散らし、狐面の男にかける。こんな状況で水を撒き散らしていて誰かに見られたらどう答えよう。でも、今はそんな事考えてる場合じゃない。

 次に使ったのは電気のカード。電気がバチバチと刀に纏わる。…刀にまとわりつく電気ってどうなってんだろ。冷静に考えるが、まぁ法則を無視してようが飽くまでこれはゲームのバトル。これが当たり前なのだろう。と無理矢理納得する。

 僕は電気を水の方へ向けた。さっきと同じように法則を無視するなら塩を混ぜなくても良いだろう。そうすると電気は水を流れて水飛沫を浴びた狐面の男の方へ向かい、狐面の男は感電した。それなりにピクピク動いている。というか、何で電気見えるんだ…?雷と同じか?

 僕は恐る恐る狐面の男の方へ向かい。その仮面に手をかけ、ゆっくりと顔を見る。そこには、同じクラスの学級委員、八幡の姿があった。

 「あれ、八幡、、お前、何で…?」

「やめろ、死にたくない!死にたくなぁぁぁぁい!!!」

「待ってくれ、落ち着け。状況を…。」

僕の声は途中で遮られる。

「あぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

八幡の手が、データのような数字の羅列になって消えていく。

 「は…?何でだ!俺は、、何もしてない!」

やがて八幡の断末魔は止まり、八幡は完全に消えてしまった。

 怖くなった僕は急いで走って家へ帰った。そうだ、これは夢だ。夢なんだ。ゲームだかなんだか知らんが、これは夢だ…。

 僕はそのままベッドでうずくまって寝た。

 そして次の朝の学校のホームルーム。担任の先生が口を開いた。

 「昨晩から八幡君が行方不明になっているそうです。もしも誰かに聞かれても何も答えないように。知ってることがあったら先生に教えてください。」

 どうやら、あのゲームは本物らしい。

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