ガイスト×オルガナンス

フェノン♬

第1話 日常は戦場に

 「…とても退屈たいくつ。」

 ぼくはそう呟いた。高校二年生…。人生で最も楽しい時期だと言っても良いのに、僕にはそう思えなかった。学校へ行って、バイトをした後、家で少し勉強してスマホを片手に横になる。そんな毎日だった。そして毎日のようにスマホを弄ってると、とある広告が目に入った。

 <ガイスト×オルガナンス>

 聞いた事もないゲームの名前だった。説明を見てみると、どうやら武器とカードを駆使くしして戦うゲームらしい。それだけなら、よくあるゲームでませられた。だが、ある一文いちぶんに目をかれた。

<ゲームに勝って、願いを叶えよう!>

「そんな馬鹿ばかなことあるかよ…。」

 でも、これがもしも本当だったら…。

 この退屈たいくつな日常を変えられるかもしれない。

 僕は面白半分にこのゲームをインストールする事にした。早速さっそくアプリを開いてみる。

 「まずは名前かー。名前が玖島くしま 颯太そうただから…。ソーダで良いか。」

 名前を入力すると、武器の選択画面にうつった。

 「ほど…ここで武器を選んで戦える様になるのか。剣、槍、弓矢、銃…。色々あるな。まぁ無難に刀にでもしとくか。」

 そうするとゲームのホーム画面に移動した。ゲームのマスコットキャラが<ランクマッチ>のボタンを指差している。

 「よし、やるか。」

ランクマッチのボタンをタップすると、ぐにマッチングした。マッチングすると勝手に地図アプリが開き、ある地点をしめした。近所の公園だ。

 「そこまで行けって…ことなのか?」

色々と困惑こんわくしつつも渋々しぶしぶそこに向かってみる事にした。公園に足を踏み入れる。そこには、狐の面をかぶった、僕と同じ学校の制服を着た男がいた。

 「あれ…同じ学校の?」

 スマホから音が鳴る。

そこには<ゲームスタート!>の文字があった。

 それと同時に後ろにドサッと何かが落ちる音がする。振り向くとそこには…先程選んだ刀が落ちていた。

 「は…?なんで?」

戸惑う僕を他所に狐面の男はナイフを持っておそいかかってきた。

 「うぉぉぉぉ!?」

咄嗟とっさに刀を取って転がって回避かいひする。

 着ていた服がちょっとだけ切れていた。どうやら相手のナイフは本物のようだった。こちらの刀も結構けっこう重い。こっちも本物らしい。

 「待て!落ち着け!」

狐面の男に必死に叫ぶがそれを無視して攻撃してくる。今の所なんとか回避かいひしているがこちらの体力が尽きるのも時間の問題だ。

 「やるしかないって事か…。」

人殺しをするのはゴメンだ。でも、今の状況をけるにはこのゲームに勝つしかない。僕は、刀を手に持ってその場に構えた。前にほんの少しだけ剣道をやっていた。そこらのチンピラくらいなら何とかなるくらいには慣れている。

 ナイフで刺そうとしてくる相手の動きをよく見る…そして刀を振った。相手のナイフがちゅうう。

 「チッ…。」

狐面の男が少しだけ呟いた。どこかで聞いたことある様な気もする声だ。そして、狐面の男はスマホを取り出すと、指を上にフリックした。すると、ナイフは相手の片手に戻っていく。そしてもう一度フリックすると、後ろや横が土の壁におおわれる。

 「は?何で…?」

ナイフの矛先ほこさきが僕へと向けられた。



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