世のなかを何にたとへむしゆわしゆわと弾けてきゆる水泡かなしも

【読み】

 よのなかをなににたとへむしゆわしゆわとはじけてきゆるみなわかなしも


【大意】

 人生を何にたとえたものであろう。そのようなことを考えつつ見ると、しゅわしゅわと弾けて消える水の泡につよく心を打たれることである。


【付記】

 「人の一生は重荷を負うて遠き道をゆくが如し」のような人生訓とはだいぶ勝手が違うようである。


【例歌】

 水沫なすもろき命もたくなはの千尋ちひろにもがと願ひ暮らしつ 作者不詳

 水粒みつぼなす仮れる身そとは知れれどもなほし願ひつ千年ちとせの命を 大伴家持


 世の中を何にたとへむ朝びらき漕ぎにし船の跡なきごとし 沙弥満誓さみのまんぜい

 世の中を何にたとへん秋の田をほのかにてらす宵の稲妻 源順みなもとのしたごう

 世の中を何にたとへん風ふけばゆくへもしらぬ峯のしら雲 同

 世の中は何にたとへむ弥彦いやひこにたゆたふ雲の風のまにまに 良寛


 世の中は常にもがもな渚こぐ海人あま小舟をぶねの綱手かなしも 源実朝

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