第5話国のトップ

ナイトバーツ。それが今日の仕事場の名前だ。ナイトバーツの072号室。今回俺はアスカと言う名前を使っている。仕事の時は当然偽名を使い、歩き方や喋り方も変え、手袋などもして痕跡を一切残さないようにしている。それにしても部屋番号072。どうやら最強クラスの変態ゴミクズ野郎が今日の相手らしい。一体どんな奴なのかが楽しみだ。「ここか。」仕事場に着いた。見た目からラブホテルだと気づいた。辺りを見回せば何かの式典で見たことがある面々がいい女を連れて中に入って行っている。どうやら国のトップ連中ご用達のラブホテルらしい。どいつもこいつも権力をフルに使って好き放題やりまくってやがる。女も女で金で簡単に体を売りやがる。救いようがないな。俺がそいつらを見て落胆していると「君がアスカちゃんかい?」と声をかけてきた。そいつの顔を見てまた落胆してしまった。カース・ロバーツ。俺とカムイが通うことになったカース王国のトップだ。年齢は60ぐらいだろう。「はい、私がアスカです。ご依頼さんですか?報酬に見合うように、沢山ご奉仕しますね。」いつもの様にそれっぽい事を言って機嫌をとりにいく。「楽しみー。さあ早く中でご奉仕してよ。そうだ、先に依頼料払っておくよ。1000カースだったよね。」ラッキーついてる。先に金を払ってくれる相手は仕事がやり易い。俺はお金を貰い「さあ、早くいきましょう。」そう言ってロバーツの手を引いて部屋に向かった。072号室ロバーツがニヤニヤしながら口を開いた。「アスカちゃん、君本当に可愛いね。もし良かったら私の物になってくれないかい?」その言葉を聞いて、「物ってどう言う意味ですか?」と聞き直した。するとロバーツが気色の悪い笑顔を見せてこう言った。「そのままの意味だよ。私の物になればお金に困ることもない、働く必要もないし、それに・・・毎日最高の気持ちにしてあげるよ。」ロバーツは続けてこう言った、「他にもおもちゃはあるけど大丈夫、すぐに仲良くなれるよ。みんなで仲良く私にご奉仕するだけで何もかも手に入るよ。」俺は不意に、「てめえの物になるぐらいなら死んだ方がマシだ、クズが」そう言ってしまった。すると、ロバーツの顔が真っ暗になり俺の身体を押さえつけて、胸元から何かを取り出した。胸元から出てきたものは、小瓶に入った液体だった。「大丈夫だよ、安心して。この薬を飲めばきっと幸せになれるよ。」ロバーツが俺にそれを飲まそうとしてきた。「クズが、まさかその薬でおもちゃを作ってきたのか?3秒やるから答えろ。」俺はロバーツの体を吹っ飛ばし、隠し持っていたナイフを首に突きつけた。ロバーツは一瞬の出来事で何が起こったのかわからない様な顔をしていたが、すぐに状況を飲み込みヘラヘラと語り出した。「この薬は、この国一番の魔女に作らせた代物だ。1滴飲んだだけで俺の言う事をなんでも聞くおもちゃになる。君もそのひとつになれるんだ、光栄だとは思はないか。」俺は昂った感情を抑えながら言った。「光栄?お前みたいなクズにいい様にされてどこを光栄に思ったらいいんだ。はあ、もうひとつ聞く。おもちゃになった奴らを治す方法はあるのか?」ロバーツは「おもちゃになったら最後、そいつらはもう私なしでは生きていけない。治す方法も救う方法もない。そんなことより、私が誰か分かっているんだろうな。この国の王カース・ロバーツだぞ。聞こえたならナイフをのけて私と人生を歩んだ方が利口だ。」と言った。「直す方法はないか、じゃあ仕方ないな。治す魔法を作るしかないか。」俺がそう呟くと「魔法を作る?どう言うことだ。そんなことができる魔法使いはこの世界に7人しかいないぞ。」それは初耳だった。「じゃあこの世界に8人いる事になったな。でも安心しろ、8人いるってことは俺とお前しか知らない。」俺が耳元でそう呟くと「ど、どう言う事だ、ま、待ってくれ。そうだ、城で雇ってやる。欲しいものは全てお前に与える。この国の貴族としての身分をお前にやる。」ロバーツは震えながらそう言った。「そんなのいらない、俺はただカムイと入れたらそれでいい。じゃあな。」俺は痕跡を一切残さずその場を後にして、カムイの寝ている宿に帰った。

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