4-103.本当の使い方を教えてやる
※今回も前回と同様、ヘルメス視点から展開されていきます。
※これは十月十二日の更新分となります。
待っていてくれた方、本当に申し訳ございませんでした!!!!!!!!
大学のプレゼン資料作成に時間を取られ、更新が滞っておりました。
遅れてはいますが、数は合わせていきますのであしからず。
――走り出した僕は、落ちていく首の軌道だけを反復していた。
『オリュンポス十二神』一行は、
僕達が立ち塞がらなければ、折角の前進が即刻止められることになってしまう。それだけは、絶対に避けたい。
言ってしまえば、ここで退くことはゼーちゃんへの裏切りにもなり得る。
僕を信じて、地獄界へ行くことを任せてくれたゼーちゃんの気持ちに答えられないということになってしまうのだから。
クロロンが恐らく時間を止め、一つ首を落としてくれた。前の歴史では、全員がケルベロスに完封されてしまったようだが、真偽は不明だ。
まぁ、ここで嘘を吐くことに利点はないだろう。『裏切り者』が確定した『今』では、もう疑うことも失礼になる。
真実を言っているとして考えた上で、最善の行動は何か。
『オリュンポス十二神』らしく、働きを見せようとした僕の脳みそ。だが、その考えに至る前に、あることに気付いてしまった。
――無断での、僕の愛鎌『
戦略の構想段階でも、しつこく使わせるように迫ってきたが、何回言い寄ってきても、そこにどれだけの誠意が見えても、軒並み首を横に振った。
これは製作者こそ
僕だけが使い熟すことのできる、最強の鎌であると、そう信じて戦い続けてきた。それなのに、勝手に使われて、宿敵の首が落とされていた。
これに怒らないという方が、無理があるだろう。次なる行動を考えるより先に、足は地面を蹴り、困惑と怒りの表情を携えながら叫んでいた。
――貸せ、僕のだぞッ!
放り投げられた鎌は、綺麗な放物線を描き、そのまま僕の手元へと収まった。
勢いは殺さない。段々と大きくなっていく影だけが、僕の双眸には映っていた。
いつものように構える『
近付くにつれて、増していく速度。これが僕の戦い方。
教えてやる! これが『
『グワァァァァァァァァァァァァァアアアア‼』
悲鳴と共に落ちていく首。だが、同時にもう一つのことに気が付いてしまった。
何か魔法が行使されていたらしい。ケルベロスの周りには緑色の煙が蔓延し、先に飛び込んでいったクロロンの全身を飲み込んでいた。
首を落としたのはいいが、これは何か危険だ。そう警鐘を鳴らす脳に従って、飛び退いた僕。
――僕が死んでしまったら、ゼーちゃんがきっと悲しむ。
クロロンの印象を伝えてやるまでは死ねないじゃないか。
でも、折角仲良くなったクロロン。一緒に帰ってちょっかい出してやりたい。だって、そう約束した。
そうだろ、クロロン。なぁ、なんか声とか聞かせてくれよ。
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