坂道にて

音澤 煙管

今年は一人の坂道で……





暗い景色の坂道に、

家路の君は何思う。


夕暮れ時は蛍を連れて、

空に留まり星になる。


やんちゃな蛍は流れ星、

満月目指すヤツも居る。


天の川で水を飲み、

身を焦がして光りだす。


静かな夜空は忙しなく、

やがて東雲夜も明ける。


静かに空から降りて来る、

蛍は大地へ散り帰る。


土に雫が落ちる頃、

木々に留まる蝉は鳴く。


雲の流れと雨続き、

乾いた風が頬撫でる。


何度目かの蔦が枯れ、

そろそろ実りの頃を待つ。


こうして何時もの夏終わり、

今年は君の居ない夏。


夕暮れ長い影を踏み、

一人の坂道思うぼく。

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坂道にて 音澤 煙管 @vrymtl

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