ひどくないですかその笑い声!最低!←伝わらないと思いますがすごくほめていますゆるやかな非現実がひどいことになっていく。最低な書き出しはなぜかときめくものです
ごく平凡な男子大学生が、GTAシリーズのような暴力的でグロいVRゲームをプレイしている。 あまりの残酷さにおいおいとなりつつも、それを存分に楽しむ自分がそこにいる。 あまりにも仮想現実がリアルになった世界で、リアルじゃない体験が真実だとしたら? 虚実の境を失っていく主人公が、まるで夢の世界での出来事のように何かを失って行くとしたら? カフカの「変身」や「審判」を2020年代に描くとしたらこういった物語なのかもしれない。
徐々に主人公が壊れていくのかと思いきや、ただ純然たる狂気に置き換わっていくその精神性が心地よく感じました。綺麗にぶっ壊れた人間って美しいですね!
映画『ジョーカー』を思わせるような悪の魅力が冴える作品。スタイリッシュで乾いた文体が秀逸で、残酷描写は非常に多いのですが、不快感よりもゾクゾクするようなスリルを味わう事が出来ます。どんどん壊れていく主人公に驚きつつも、私自身の心にも恐らく眠っている狂気やほの暗い欲望をかいま見たような、圧倒的な迫力があります。