こんな夢を見た/海沿いの村
青葉台旭
1.
海沿いの小さな集落を歩いていた。
雲ひとつない青空で、温度も湿度もちょうど良く、空気は澄んでいた。
集落の家々は、みな平屋で黒瓦の屋根は低かった。
道も家々の庭も砂地で、庭と道を仕切る垣根は、
その垣根ごしに、犬が一匹寝そべっているのが見えた。
種類は良く分からないが、大型の西洋犬だ。
犬の居る家の前を通り過ぎて数十メートルも歩いたとき、ふと『あの犬は繋がれていなかったな』と思った。
振り向くと、犬が庭から道に飛び出して、私に向かって猛烈な勢いで走ってくるのが見えた。
私は驚いて近くの家に逃げ込んだ。
玄関の引き戸を閉じようとした時、僅かな隙間に犬が鼻を差し込んで来た。
私は、犬の鼻を挟んだまま、戸をぐいぐい押した。
犬と私の力勝負になった。
私は、『俺の方が先に疲れて負けてしまうだろうな』と思った。
こんな夢を見た/海沿いの村 青葉台旭 @aobadai_akira
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