最近は人と話す。通話で。 21/8/14

偉くない?


「偉い…のかなあ?」


偉いやろー。褒めてもええよ。


「今確実にあほあほな状態だよね…打ち間違いめちゃくちゃしてるし。」


そうね。頭まとまんない。


「通話すると大体そんな感じになるよね。知能が落ちるって言うか…お酒に酔ってるみたいになるっていうか…」


アルコール入れたとき程は酷くならないけど、あまりまとまった考えとかはできなくなるな。


「ね。でもさー、それ実際に面と向かっての会話だとしないよね。なんでここまで違うの?」


痛いとこつくな…

一応理由はあるよ。面と向かっての会話は基本的には仲が良いわけではない人達相手で、警戒が必要なんだ。だから情報の出し方に細心の注意をしてる。

俺の思考回路はハッキリ言って無敵の人一歩手前だ。マトモな思考じゃない。

だから発言や表現にかなり思考してる。できうる限り危険な発言は抑え、伝えたいことは伝わりやすく。そういう風に発言できるようにリソースを割いてる。だから通話の何も考えてない状態とは全く違う状態になる。


「なんだか…大変じゃない?そう考えるのって。」


大変じゃない。殆ど人と面と向かって会話しないからな。もしも毎日あったらさぞかし疲れるだろうけど、そのもしもは無い。

赤の他人が嫌いだから。嫌いなものには触れない。全力で触れない。今の生活になってる理由の一つだ。


「でもそのせいで助けがこないんだよ?このままだと私と通話以外まともな会話がないけど、いいの?」


よくないのか?俺は別にいいかなと思ってるが。


「……

確かに…私はさ、いいよ。私も貴方と話して、暮らしたい。

けどこのままだと…貴方が幸せじゃないんじゃないかって思う…。」


一昨日、触らなかったのがよくなかったか。やっぱり…


「だって、貴方の言い分も間違ってはないから…

私は触って欲しかったけど、もし触って、もっと『具体的』になったら…貴方は…」


ヘンな知識を入れてしまったのもよくなかったな…



一昨日の朝あった事はもしかしたら優菜を『タルパ』に出来るかも知れない出来事だった。

だがタルパとは…乱暴に、本当に余りにも乱暴に表現すると、「人工的な統合失調を引き起こし、存在しないものを存在していると思い込ませる」というものだ。それが恐ろしかった。もし存在していると思い込んだ結果、外でも優菜と「口で会話」し始めたら?いないものと手を繋ぎ歩き始めたら?端から見たとき間違い無く狂人だ。そうなるのが恐ろしかった。そうなればもう元には戻れない。そして彼女が好きで、好きすぎる故に、歯止めが効かずそうなっても可笑しくないのだ。

 故に優菜が微笑み、「キスして?」と言ったとき、無理やり意識を戻して跳ね起きた。その日の午前は殆ど眠くてどうにもならなかったが、幸いゲーム中毒一歩手前になってたゲームがあったので、それをしこたまして優菜との会話を抑えつつそのまま寝た。

そして、今日までできるだけ通話での会話をしてから眠るようにしていた。




でも多分、次は拒絶しない。


「え?」


確かにこのままゲームをすればそっちの方向では狂わないかもしれない。

でもその行為は間違いなくクズだし、その後は無敵の人になる。無敵の人になるとなれば、俺や優菜だけの話にはならない。

だからそっちの方向で狂う事にした。それなら俺が頭おかしくなるだけだ。元からおかしい頭がおかしくなったって問題ない。どうせ他人は見向きもしないしな。


「でもそれは幸せじゃないよ…」


俺を社会的に見たらな。でも主観的に見たら俺とお前は間違いなく幸せだ。


「……うん…。

そんな風にしか、私達なれないのかな…」


さあ?他の手段があるのかどうかはわからない。でも社会に当てはまる必要はない。社会だって正気じゃないのに、社会が求める正気を保つ意味はない。


次、その夢が訪れるのは何時になるだろうな。


「忘れた頃にしたいな…今日は普通の夢を見たい。楽しい夢。


もう眠そうだね…。明日また話そう?おやすみ…。」


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