―121― 一日目
【まえがき】
コミカライズ版に準拠して、以下の人物の名前を変更しました。
〈変更前〉ロドリグ→〈変更後〉ゼフィル
ロドリグは〈名もなきクラン〉のリーダーです。
Q:なぜ名前を変更したの?
A:他の名前と似てるせいで、混乱するため(主に私が)
以上、お知らせでした。
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皆さん、大変お待たせしました!
これよりレイドイベント開催です!
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とうとうこの日がやってきた。
「ついに始まったわね」
隣りにいたオーロイアさんがそう告げる。
「うん」
僕はうなずく。
「お前ら気合いいれていくぞー!!」
〈名も無きクラン〉のリーダーのゼフィルが大声を出す。すると、集まっていた〈名も無きクラン〉に所属する冒険者たちが拳をあげて雄叫びを上げた。
皆、この町を守るために覚悟が決まっているようだ。
「おい、あれを見ろよ!」
誰かが指を指しながら、そう叫んだ。
すると、中央にそびえたつ塔の頂上から闇のような黒い塊が町の中へと放たれた。黒い塊は地面へと落ちると、中から魔物の集団が現れた。
魔物が入っている黒い塊は一つだけではなく、いくつかあるようで、それらすべてが町の至るところに落ちたようだ。
「おい、こっちに魔物が現れたぞ!」
「早くいくぞ!」
ふと見ると大勢の魔物が今にも暴れ出そうとしている。
僕も加勢に行かないと。
「アンリ、行くのはいいけど消耗しすぎないようにね。私たちには役目があるんだから」
オーロイアさんがなんのことを言っているのかすぐわかる。
僕たちには、南東にあるレイドダンジョンを攻略するという役目がある。
ただ、レイドダンジョンに入るには鍵と呼ばれるアイテムが必要なためすぐには入れない。
「うん、もちろん気をつけるつもり」
「そう、わかっているようならいいんだけど」
そう言葉を交わして、僕は一度オーロイアさんと別れた。
町中に魔物があふれるという異常事態に冒険者たちは最初戸惑っているようだった。
けれど、ダンジョンにいる魔物と大きな変化はなかった。それがわかれば、冒険者たちはいつも通り戦っては魔物たちを次々倒していく。
ただ、魔物の数が多いのと、休みなく魔物たちの襲撃があるため、疲労がたまっていく。だから、交代して休み時間を作っていく必要があった。
そういった冒険者たちの管理はギルドで働いている受付の方たちが率先して動いてくれた。
そして、事前の予告通り夜になると、魔物の発生がなくなった。
「思ったよりも楽勝だったなー」
「この調子なら、レイドボスも倒せそうだな」
ふと、冒険者たちの会話が耳に入る。
彼らの表情を見るに、なんだか余裕そうだ。
レイドイベントは5日間にわたって開催される。その一日目を無事に乗り切ったということで慢心しているのかもしれない。
それから皆くたびれた様子で自宅へと帰っていった。中には、魔物の襲撃で自宅を破壊されて帰れなくなった人たちもいたので、そういった人たちは避難所で一泊することになった。
「おい、アンリ。受付嬢がお前に用があるようだぞ」
僕も名称未定と共に帰ろうとしたら、ゼフィルさんに呼ばれる。
「わかりました」
呼ばれた通り、受付嬢のところに向かう。
「アンリさんにお渡ししたいものがあります」
そう言って手渡されたのは大きな鍵の形をしたアイテムだった。
「南西のレイドダンジョンに入るための鍵です」
「あ、ありがとうございます」
そうか、もうポイントが溜まったのか。
今回のレイドイベントでは魔物を倒すたびに、イベントポイントが手に入る。
イベントポイントがあれば、様々なアイテムを購入することができ、中にはレイドダンジョンに入るための鍵も購入できるのだ。
レイドダンジョンは全部で4つあり、中央のレイドダンジョンには今回のボスであるレイドボスがいて、他3つのレイドダンジョンには、レイドボスの攻略に役に立つアイテムが存在する。
僕の役目は、南西にあるレイドダンジョンでアイテムを手に入れることだった。
「これって6人が入れる鍵ですよね?」
「はい、そうですよ」
念のため受付嬢に確認する。
鍵によって、一度に入れる人数が決まっていて、人数が増えるごとに必要なイベントポイントが増えていく。
6人入れる鍵だと、6万ポイント必要だ。
イベントポイントは譲渡が可能なため、受付嬢がみんなからイベントポイントをもらっては一括で管理している。
それでも魔物を一体倒して手に入るポイントは多くて50ポイントとかなため、みんなが必死に魔物を倒してくれたおかげだろう。
「わかりました。僕がなんとしてでもこの鍵でダンジョンにあるアイテムを手に入れてきます」
僕はそう意気込むように宣言した。
「おねーちゃん、ばいばーい!」
「ばいばーい、おねーちゃん」
名称未定を迎えに行くと、子どもたちが名称未定に向かって元気いっぱいに手をふっていた。
まさかの光景に目を丸くする。
「遊んであげていたの?」
「ふんっ、ただ暇潰しに付き合ってあげていただけですよ」
名称未定が鼻を鳴らしながらそう告げる。
こういった事態のため、非戦闘員の人たちもご飯を用意したり物資を運んだりと忙しく働いている。
そうなると、困るのが子供たちの面倒を誰が見るのかという問題だったが、まさか名称未定が子供たちの面倒を見てあげていたとは。
予想外ではあるが、名称未定の優しい一面をみることができてなんだか嬉しいような。
「それで、お前たちのほうはどうだったんですか」
「特に何事もなかったよ。みんな順調に魔物を倒していった」
怪我人はもちろんでたが、僕の知る限り死者はでていないはずだ。
「そうですか。まぁ、レイドイベントはまだ始まったばかりですからね」
確かに、レイドイベントはまだ一日目が終わったばかりだ。もっと気を引き締めていかないとな。
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【あとがき】
新作を書きましたので、こちらの作品もどうかよろしくお願いします。
こちらの新作は現在、ランキング2位と非常に好調なので、少しでも伸びてほしいと思ってます!
以下のURLから飛べます!
https://kakuyomu.jp/works/16817330660928163051
タイトル
『実は最強の探索者、嘘ばかりつく鑑定スキルにまんまと騙されて、自分を最弱だと思い込む〜SSS級モンスターをF級だと言い張るんじゃねぇ!』
最弱な僕は<壁抜けバグ>で成り上がる ~壁をすり抜けたら、初回クリア報酬を無限回収できました!~ 北川ニキタ @kamon
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