第一章 2話《私とワタシ》
表の顔、裏の顔が存在しない人間などいない。そんな中で自分が理想とする自分と他人が理想とする人間を擦り合わせる、正確に言ってしまえば自分の理想を折り曲げて他人の理想になりきることを知るのだ。どんなに綺麗事を言っても、学校という場所はただの他人同士が無理やり共同を強いられる場所である。その事実は変えられない。そんな息苦しい場所で楽に息を吸うためには自分を酸素のない場所で息ができるような生態に変えなければならない。大きな変化を起こす者は深呼吸をし、変化を怠る人間は息苦しい日々を余儀なくされる。
私はずっと変化を重ねてきた。小学3年生では大好きだった読書をやめた。中学2年生では金をかける意味が理解できないままに化粧水を買った。縮毛矯正もかけた。いつまでたっても運動だけはできるようにならなくて、体育の時間はだるいと言ってやり過ごした。
「自分を持ってる人って良いよね」
クラスメイトに言われた。じゃあ貴方は休み時間はずっと本を読んで、肌は荒れて、髪はボサボサで、運動音痴な私でもこうやって一緒に過ごしていたの?そんなわけがない。この人はそういう人間じゃない。
「それな」としか言えなかった。
そして今、私はその子に出会った。その子は中2の頃の、変化真っ最中の私と重なった。外見はまだまだ足りていないが、感性だけは他より先を行っていた。
だから声をかけた。気が合うというだけで私達は目に見えるように距離が縮まっていき、一緒にいる時間が長くなった。
これが私が親友を得た経緯である。
日が堕ちる 篠田真白 @massey24
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