ゴルネイ侯爵 ※他視点

  

 ※ゴルネイ侯爵はリーシャがレミリアの婚約者として宛がおうとしていた悪徳貴族です。

 名前のみ『侯爵からの呼び出された後 ※リーシャ視点』で登場します。

 ―――――


「むふふ」


 恰幅の良い中年男性が王宮内の廊下を堂々と歩いている。その様子からしてとても機嫌がよさそうである。


 この男はゴルネイ侯爵。少し前までリーシャを呼び出し、計画の進行について質問をしていた。


 計画については、リーシャの姉であるレミリアを自身の妻として据えることだった。この計画自体リーシャがレミリアへの嫌がらせとして考案したものだが、このゴルネイ侯爵が想定外に乗り気になってしまい、引っ込みがつかなくなってしまったのだ。


 ゴルネイ侯爵はレミリアが逃亡してしまっている以上、レーシャからすればさっさと手を切りたい相手。しかし、仮にも侯爵の地位に居る相手をそう簡単に手を切ることも排することも出来ない。


 しかし、そうする方法が全く無い訳でもない。自ら出来ないのなら、他の者にやらせればいいのだ。


「ゴルネイ侯爵殿。少々よろしいか」

「ぬん?」


 突然ゴルネイ侯爵の周りに数人の騎士が取り囲んだ。その中心に居るのは王家騎士団の副団長。


「ぬ、なんだね? 儂はこれから屋敷に戻るところなんだが」

「あの情報筋から、貴方にある法を犯しているという疑惑がもたれている。そのため事情を伺い疑惑の調査をさせてもらいたい」


 副団長の言葉を聞いてグルネイ侯爵の顔色が変わった。


「儂は忙しい。後日にしてくれないか? そうであれば話をすることは可能だ」

「それは出来ません」


 副団長が提案を拒否したことでゴルネイ侯爵の顔色が悪くなる。その様子から疑惑に関して心当たりがあることは明白だった。


「忙しいと言っておろうが!」


 そう言ってゴルネイ侯爵は無理やり取り囲んでいる騎士の間を通り抜けようとした。しかし、当然騎士たちは通すことはせず、この場から離れようとしたゴルネイ侯爵を押さえ付ける。


「申し訳ないが貴方には拒否権は無い。それに屋敷に戻られて証拠を処分されかねない以上、こちらで拘束させてもらう」

「ふざけるな! 儂は侯爵だぞ! お前ら騎士団よりも地位は高いのだ。このような事をして許されると思っているのか!?」

「ああ、なら問題はないですね。私は公爵の者ですしから貴方よりも地位は高いですね。なら貴方の言うように私がやることなら許される物なのでしょう。ほら、逃げられないように拘束しろ」

「うっぐぅっ」


 副団長の理論に少なからず破綻はあるが、権力を振りかざそうとしたゴルネイ侯爵は副団長のその発言により逃げ出すことは叶わなくなった。


 王家に仕える騎士団の団長と副団長は、当然地位の高いものが就くのか慣例だ。今回のような場合に備え、侯爵では権力不足とされることが多く、大半は公爵家、しかも王家に関りを持つものがその地位に就くのが普通だ。


 そして、この場に副団長が来ているのも、権力による逃走が発生しないようにするためなのが理由の大半を占めていた。


 そうして、その後もゴルネイ侯爵は多少の抵抗を見せていたものの騎士団の者たちによって地下牢へと収容されていった。




 ※ゴルネイ侯爵の罪は奴隷関係のものです。

 _____

 ※本編でリーシャはゴルネイ侯爵に対して相当苛立っていますが、保険くらいはかけていました。ただ、その保険がどのくらいのタイミングで機能するのかわかっていなかった感じです。むしろ、ここまで早く動かれたのはリーシャとしては想定外。

 ついでに、どうしてゴルネイ侯爵の不正を知っていたのかと、この時から騎士団によってリーシャは若干疑られていました。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る