突然の解雇 ※ロジー視点


 ※ロジーはレミリアがオグラン侯爵家に居た頃の側仕えで、本人の登場はなく、レミリアが名前を言っただけの存在です。


 ―――――


 とあることでオグラン侯爵家の当主である旦那様に申し立てを行ったところ、突然の解雇通知を言い渡されました。

 大本の雇い主である当主様に異議を申し立てること自体、解雇に繋がるような行為ではありますが、それでも突然解雇を言い渡すようなものではありません。


 申し立て内容についてはレミリアお嬢様の婚約についてです。


 5年前の第2王子との強制婚約も憤慨ものでしたが、今回の突然の婚約破棄も理解が出来ません。それにその後に第2王子の婚約者として就いたのがレミリアお嬢様の妹であるリーシャお嬢様というのが腑に落ちませんでした。

 なので、そのようになった経緯を旦那様に聞きに行ったのですが、どうやらそうなった理由がリーシャ様にあるとのこと。


 どういった経緯なのかさっぱりわかりませんでした。さらに問いただしてみれば、どうもリーシャ様の提案に乗って婚約者を変更したとのこと。


 さすがに言いたいことが多すぎました。


 そして最初の申し立てをした瞬間に旦那様が私に向かって解雇を言い渡してきたのです。どうにも、これ以上は聞いて欲しくない、という内心がにじみ出て来るような対応でした。


 解雇を言い渡されてからはすぐさま荷物をまとめさせられ、夜になりかけている時間帯だというのに屋敷が立つ敷地の外へ追いやられてしまいました。


 レミリアお嬢様に最後の挨拶を出来ないまま、お屋敷を追い出されるように解雇された私は一旦状況を整理するために記憶にある宿屋に向かいました。



 私は奥様がオグラン家に嫁いできた時に一緒にガーレット国へ来た使用人でした。長らく奥様に仕え、奥様亡き後にはレミリアお嬢様のお付きとして5年程過ごしてきたわけです。


 しかし、今回の事は本当に理解できません。


 家を出る際にいくらか硬貨を渡されましたけれど、これでは1月も暮らせないでしょう。宿泊りで1月となれば結構な金額とも取れますが、私はそれなりに年を取った使用人です。新しく就業先を探すのはなかなかに骨です。しかも、職なしになった理由が強制解雇となれば、雇って貰える場所などさらに限られます。


「どうしましょうね」


 いっその事、実家のあるアレンシア王国の方へ行って、親戚の家で一時的に厄介になる事も良いかもしれません。少なくともこの国の中で働くという気持ちも既にありませんし、丁度いい機会なのかもしれません。


 そういえば旦那様……いえ、元旦那様ですね。元旦那様も国へ帰るのも選択肢に入れてはどうだ、と言っていました。

 今、冷静になって考えてみれば元旦那様の行動も少々おかしなところがありましたし、もしかしたら何かしらの策を講じている最中なのかもしれません。あの方はあまり感情を外に出さない方ですし、何かをする時も周囲に知らせないことが多いです。今回の事もそう言う事なのかもしれません。

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