第14話 目標達成

レイマンくんに頼んだ日から三日くらい経ったかな?


あれから様子見として都市内をブラブラしたり(サボりじゃない)、迷宮の入り口を見に行ったり(サボってはない)、ノアとミロとアイス食べたり(遊んでるわけじゃない)色々してるけど、進展がない


どうやらいくつもの都市でも上位の実力を持つパーティやクランが依頼を受理し迷宮に潜ってるらしいけど、未だに見つからないらしい


あの王女様やヨークも騎士を引き連れて潜って探してるみたいなんだけど、これだけ人数かけても見つからないってどういうこと?


やっぱりソロモンが適当な事書いたのかな?それか細かい場所書かれてないから探すのに手間取ってるだけで本当にあるのかな?


…分からん


「どうしよっかー」


「…もう帰ろ?」


「んー、それでもいい気がしてきたな」


どうせこのままなら王国側が石を手にするだろうし、無理に手を出すこともない。アイツヨークに嫌がらせはしておきたいが、この際ならもういいかもしれない


今だって近くのカフェで軽食を食べながら三人でグダグダしてるだけだし


「じゃあ、そろそろ帰ろっ———」


「おい!!神聖石が見つかったってよ!!」

「マジかよ!誰が見つけたんだ!?」

「それが、ユミリス王女が直々に見つけ出したらしいんだ!」

「王女様がか!?」


「「「………」」」


三人で顔を見合わせる


「よしっ、仕事終了!各自帰還!!」


「じゃね」


ノアはすぐに帰ろうとするけど、帰り道なんてわかるはずないだろうに


「いたっ、何するの?」


「どうやって帰るつもり?」


「転移?」


「場所わかるのか?」


「………」


「あとで送っていくから待ってろ」


ノアの転移は現在地の座標と行きたい場所の座標を知っていないとできない


ミロを飛ばしたのは目視できていたからだし、飛ばした場所も適当だった。川で俺の前に現れたのも、あの川近くにノアがいたからだ


「えっ?もう終わりか?」


「終わりだよ。あ、ミロには手伝ってくれたお礼は渡しておくよ」


今何か持ってたかな?カバンの中を漁ってみると、ちょうど良さそうなのが出てきた


「はいこれ」


「…これは?」


取り出したのは金色の腕輪


「昔どっかの遺跡で出てきたやつ。現金よりそんなやつの方がいいでしょ」


「これ、売れんの?」


「貴族の屋敷なら買えるね」


「!?!?!?」


そんな驚いてくれるなんて、なんだか新鮮だな。最近はみんな高価な物が湧いてくるって思ってるのか反応すらしてくれないからね


「ありがとね、ミロ」


「お、おう。ま、まあ、これくらい大したことないぞ!」


うんうん。気に入ってくれたのか大事そうに布で包んで仕舞っている



よっしゃ!これで次に進めるぞ!!



ドゴォーーーン!!!!



ようやく帰ろうとした瞬間に、迷宮の入り口付近から爆発音のような音が聞こえる



「…ノア、ミロ、悪いけど残業ね」



————



「いや、それにしても貴方かたのような冒険者にまで協力していただからとは心強い限りです」


「いえ、そんな…」


こんな場所でも媚び売り…、ヨークもよくやるわ。相手は『金剛』の二つ名まで持つ冒険者だから無理もないかもしれないけど、場所は弁えて欲しい


ここは迷宮内よ?しかも六十三階層。既に過去未到達と言われた区画は突破した


ヨークはなんでこんなところまで来れたのかしら?武術も剣術も魔法も使えないのに……。悪運って凄いわね


「この階層で無ければ、一度地上に戻る必要が出てきますが…」


「そうね…」


これ以上は物資も持たない。どれだけ自分たちに実力があっても、食糧も装備もなくこれ以上下へ行くのは無理がある


この階層で神聖石が見つかればいいんだけど


「姫様!!」


「どうしたの?」


「どうやら、冒険者の一人がある物を見つけたとの報告が———」


「どけっ!!」


騎士を突き飛ばして後ろから出てきたのは剣士の男性で、確かリドさんと言ったかしら


「リド!何やってるんだ!!」


「おう!レイマン、俺が見つけたぞ!!」


「見つけたって、何を?」


「これだ!!」


リドさんが懐から取り出したのは、虹色に輝く綺麗な石だった


「そ、それは!!」


「ヨーク、知ってるんですか?」


「は、はい!姫さま、それこそが我々の求めていた物でございます!!これが、神聖石です!」


「「「!?!?」」」


うそっ!?私以外にもこの場にいた冒険者も騎士も全員が驚きを露わにする


「リド!それはどこで見つけたんだ?」


「ん?この前の事を思い出してむしゃくしゃしながら走り回ってたら隠し部屋みたいな所があってよ。その中にあったぞ」


「………」


開いた口が塞がらないとはこのことだろう。まさかそんな簡単に見つかるなんて……、いや、上級冒険者だからこそなのかしら


「とはいえ、これで陛下にも朗報をお伝えできます!!一秒でも早く、地上へ帰りましょうぞ!!」


「ええ…」


ヨークはなんでこんなに焦ってるのかしら。功績が欲しいから?それとも、何か急がなければいけない理由があるのかも…


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転生者による異世界満喫の旅〜次は、勇者と魔王の決戦を観戦したいです!〜 宮師スズ @Urasia

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