第3話 あなたは神を信じますか
両親から美人になったなと言われ、縁談を持ち掛けられた。
世辞ではない。
これはある種の、合言葉に近い。
小さな村の貧乏領主の娘である俺は、正確に言えばこの家の娘ではない。
血はつながっているが、そう。中身が違うのだ。
両親は俺の話を世迷言や、頭の病気なのだろうと誤解をしては、金を集めるためにこうして縁談話を持ち掛けてくる。
俺は養ってもらった感謝を込めて、その縁談相手と会うことにした。
嘘だ。
ただやりたいだけだ。
今日出会った相手は海を渡ってやってきた聖職者らしい。神を信じれば救われると言う彼は、みすぼらしい服装に似つかわしくない分厚い本を持っていた。聞けば彼が信じる宗教の晴天らしい。あなたは神を信じますか
雲のように西から東へ様々な地域で布教活動を行っている彼は、流れ着いてこの辺鄙な村に来たらしい。そこでこの村の中でも一番彼の理想の我が家に来たのだろう。
何か困ったことに家は貧乏な貴族だ。しかも彼は布教もそうだが、金集めにも熱心らしい。
なんでわかったって?こんなみすぼらしい形で西から東へ旅行できるなんて、よほどすごいパトロンがいない限り無理だ。
つまり彼は子ネズミの中の子ネズミだ。だが熱心なその瞳に嘘偽りは無いようで、どうやら親がよっぽど醜いドブネズミらしい。
俺は彼の旅の話を詳しく聞きたいと、邸の裏にある物置小屋に彼を案内した。そこは私の第二の部屋とも言える場所だ。みすぼらしいクモの巣がたくさん張り巡らされた小屋の中に、敷き詰めた笑の上に白いシーツを乗せただけの簡素なベッドがある。
俺はそこに彼を連れ込み、横になりながら彼の話を聞いた。時折彼の太ももや胸に手を置きながら、まるで少女のように質問をたくさんし、彼からいろいろ話を聞いた。
彼は話を終えた後に輝く夜空を見てこう言った。
あの美しい星星は、私たちをまるで祝福してくれてようです。よろしければ私と一緒に布教活動しませんか。
俺はその言葉を聞いて彼の両手を包むように握った。うれしそうに喜ぶカレーに向かい、もっと詳しく聞きたいはと小屋の中に誘った。
後はもう簡単だ。舞い上がる彼を蛹から蝶に変えてやろう。
聞けば彼はまず誰とも肌を触れたことがないらしく、過度な幻想を抱いていた。さらに彼の信じる宗派は結婚するまで女性との接触を禁じていたようだ。なのにどうして私についてきたの俺が聞けば、まるで宝石にあるように美しかったからと、愚直な褒め言葉を言うだけだ。
ベッド脇のランタンに明かりをつけ彼の表情を見ると照れ臭そうにシーツに顔を隠していた。
こーゆー男も悪くないなぁ。翌朝小屋から出た彼は俺に感謝を告げ、このゴーンは忘れませんあなたの事は未来永劫語り継ぎますと、よくわからないことを言いながら朗らかに家を出て行った。ただ不思議だったなぁ。翌朝小屋から目覚めた俺が寒いはと言うと、彼はためらいなく外に向かいその分厚い本をちぎって薪がわりに火をつけたんだから。なぜそんなことをしたんだろう。俺たちがいた小屋には薪なんていくらでもあったのに。
世界最強のオークが異世界転生して悪役令嬢になりましたが何か問題でも?やめて、俺のために争わないで! 俺はやりたいだけなの! ラスター @rasterbug
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