第2話

「ば…化け物…!」

彼は腰を抜かして倒れ込んだ。


「お…お前は誰だ!」

「ケケケ…誰だ?俺の正体なんてどうでも良いだろう?」

「良いわけないだろ!」

「そう怖がるなよ。」

「おい…化け物…俺をどうする気だ?食べるのか?俺を食べるのか!?」

「ケケケ…食べたりしないさ。俺はお前の手助けに来たのさ。」

「手助け…?」

「お前、名前の事で悩んでいるんだろう?」

「な…なんでそれを…!?」

「名前が長くて本名で呼んでもらえない〜。僕にだって立派な名前があるのに〜。本名で呼んでもらえる子が羨ましい〜。僕も呼んでもらいたい〜。って思っているんだろう?」

「…。」

「だからお前の手助けに来たのさ。」

「…手助けって一体何を?」

「俺がお前を本名で呼んでもらえる様にしてやるよ。」

「何!?」

「正確にはその方法を教えてやるよ。」

「…本当にそんな方法があるのか?」

「信用してないのか?なら教えないぞ?」

「疑ってすまない!教えてくれ!」

「ケケケ…よろしい。じゃあ教えてやる。その方法っていうのはな…。」

「ゴクッ…。」

「【名前を渡す】事だ。」

「名前を…渡す?」

「あぁ、家族友達誰でも良い。名前の一部を渡せばいいんだよ。」

「待て!意味不明すぎる!名前を渡すってなんだ!本当にそれで本名で呼ばれる様になるのか!?第一渡すってどうやって!?」

「それは自分で考えな。」

「そこは教えてくれないのか!?」

「じゃ、後は頑張れよ。ケケケ…。」

「お、おい!」

そう言い残し、化け物は森の奥へと消えていった。

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寿限無君 シャドウ薄井 @ShadowUSUI

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