寿限無君
シャドウ薄井
第1話
昔々、町外れにある山奥の一軒家にある少年がいました。
その少年は「寿限無寿限無五劫の擦り切れ海砂利水魚の水行末雲来末風来末食う寝る所に住む所やぶらこうじのぶらこうじパイポパイポパイポのシューリンガンシューリンガンのグーリンダイグーリンダイのボンポコピーのポンポコナの長久命の長助」というとても長い名前を持っていました。
生まれた時にお寺の和尚様がいつまでも元気で長生きしてほしいと願いを込めて縁起の良い言葉を集めた結果、このような長い名前になってしまったようです。
和尚様の願いが叶ったのか、彼は怪我や病気1つかからずすくすくと育ち、元気でたくましい青年に育ちました。
元気で優しく、いつも笑顔を振り撒く彼は皆から「寿限無」と呼ばれ愛されていました。
「寿限無君はいつも元気で楽しそうだね〜。」
「寿限無には悩みなんて無いんじゃないか?」
「悩みなんて無いですよ!悩みも無くいつでも元気なのが僕の取り柄ですから!ハハッ。」
そう言って笑顔を振り撒く彼ですが、実は彼にはある悩みがありました。
それは「本名で呼んでもらえない」事です。
あまりにも長い名前のせいで「寿限無」と略され、人生で一度も本名で呼んでもらった事が無いのです。
「皆は家族や友達に本名で呼んでもらえてるのに、なんで僕だけ…。なんで僕だけこんなに名前が長いんだ…。」
彼は自分の長い名前を恨んでいました。
そんな悩みを抱えながら彼は町外れにある山奥の家へと帰りました。
その道中で山の奥の方から奇妙な声が聞こえてきました。
「そこのお前…止まれ…止まるんだ…。」
彼はそれを聞いて怖がりましたが、声の正体が気になり奇妙な声の方へと足を進めました。
奇妙な声のする方へ進んでいると
「そこのお前…止まれ…止まるんだ…。」
と彼の真後ろから声が聞こえてきました。
彼が恐る恐る後ろを振り向くと、そこにはこの世の物とは思えない異形の化け物がいたのです。
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