久しぶりに大当たりの作家さんと巡り逢えたと思える、良質な短編でした。これを読めば、他の作品も読みたくなること請け合いです。ぜひご覧になって下さい。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(186文字)
昨日ときょうの境が曖昧なように、子供と大人の境だって曖昧だ。ゆるやかに終末に向かう世界で、人々は自らの曖昧な輪郭を見つけるように、自らの役割を全うしようとする。けれど大人と子供がそうあるように、世界はじんわり溶けて、ひとつの曖昧なものになっていく。そこに残るものが、「僕」のような一握の純粋さであればと祈らずにはいられない。