生物準備室にて

作者 工藤行人

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  • 誰そ彼へのコメント

    物語の始まりから細部に至るまで美しい文章と漢字が巧みに使われていて心を奪われました。鮮やかさと、暗い部分が丁寧に描かれており、ゾクリとするホラーでした。

    梶川先生がとても魅力的ですね。続編がありましたら読みたいと思いました!

    作者からの返信

    華 樣

    初めまして。工藤行人です。
    この度は拙文に★やフォロー、コメント頂戴しまして有り難うございます。

    物語ることよりも語彙や修辞に強い興味・関心を寄せ乍ら書いておりましたので、その点をご評価下さいましたこと大変嬉しいです。拙文が「ホラー」を自称することには躊躇いもないではなかったのですが、「ゾクリ」として下さったとのこと些か安堵致しました(「ゾクリ」とさせたことに「安堵」というのも可笑しな表現ですが……)。

    梶川先生の造型、拙文では描写が足りない乍らも、華さんのイマジネーションで補って下さったのだと思います。恐縮です。

    似た造型の先生が登場する短編の書きかけが幾つかあるのですが、そう仰って下さいますと、お目に掛けられるように手入れをしたくなってしまいますね……私は必ずしも勤勉な書き手ではございませんが、余り期待なさらず、それでも時折、思い出された折にちらと覘いてみて下さいますと幸甚です。

    2021年8月14日 11:53

  • 誰そ彼へのコメント

    行人さま

    「煮詰まった濃い光に満ち乍(なが)らも已(すで)に夜の気配を潜ませた廊下」の先の教室が妖しげな光を点らせて本当に存在するような、魔の美しさに充ちたホラー短篇でございました。梶川先生の嫩(わか)さ、可愛らしいですね。可愛い者(嫩者)は時として無邪気なまでに残酷ですけれど、その可能性に目を瞑り、いつもと違う声音と白衣の皺にくすぐられる母性本能。齢上の青年を恋愛の対象とする少女の裡には、たしかに強く働く感情であると思われます。
    黄昏の季(とき)、それは少女の人生の黄昏でしょうか。「腐敗と今際(いまは)の匂い」を此処にも感じます。否、腐敗ではなく欠落して生きた様相で凝り固まった生きものの匂い、白衣に沁み込んだ人間の匂いと云うべきかもしれません。少なくとも少女は先生の「魔」に遭遇し、その「美」に充てられ、準備された「円環」に閉じ込められてしまうのでは、と慮ります。

    衒語学研究室が「鷗外的」であるならば、生物準備室は「お茉莉的」でしょうか。「言葉の楽園」……磨きのかかる語彙世界も、より一層素敵です。片頭痛持ちの天然理科少女(笑)の偏った見解を失礼致しました。
    どうか有意義な夏期休暇をお過ごしくださいませ。

    追伸:昨日は、お心づくしの「贈りもの」をありがとうございました。冷房で冷えすぎた室内で感銘を受けて、不完全な私が固まってしまうぐらい素晴らしい言の葉の「贈りもの」でした。大切に、大切にします。私からは……黄昏時に間に合うよう言葉を約めたいと思っております!

    作者からの返信

    ひいな樣

    ひいなさんの大好きな「夕」の時間帯を凶々しい「逢魔が時」にしてしまった拙文にもコメント下さいまして有り難うございます。そしてご免なさい(小声)

    「準備された」「円環」に弥生が「閉じ込められてしまうのでは」とのご推理、著者乍らに成る程と唸らされました。それは準備室という空間的なものなのか、あるいは梶川の魔嬈による精神的なものなのか……想像は尽きません。

    ところで、ハツカネズミの話は、流石に科白こそ大きく異なりますものの、私が中学二年生の時に理科の梶川先生(実名!)に実際に伺った内容を下敷きとしております。アマチュアボクシングの選手で、農学部を出ておられた先生は別の機会にも、落雷で丸焦げになった豚や鶏の話をなさるなど、我々だけでなく保護者の間でも「やばい先生」と定評がありました。若くして亡くなられましたが、今でも懐かしく思い出されます。
    例によって何時になるかは解りませんが、私が影響を受けずにはいられなかった先生達の思い出も随想録でご披露しようと企図しておりますのでお楽しみに(その前に「Tおじ」です……)。

    因みに弥生の思考や言動も、実は今もよく私と「遊んで」くれる大学時代の友人の体験談から拝借しております。嫩者の残影を遺す先生との「恋愛」経験のある元女子生徒と実際に初めて会い、「まさか花袋の『蒲団』の世界がこんな身近に……」などと仰天と昂揚とを覚えたものでした。才色財いずれの点でも私が容易に「逆らえない」(というと怒られそうな)、得難い友人の一人です(笑)
    「いつもと違う声音」「白衣の皺」に「母性本能」(と友人は表しておりましたが)をくすぐられるという件、「少女のエキスパート」ひいなさんにも「齢上の青年を恋愛の対象とする少女の裡には、たしかに強く働く感情」とのお言葉頂戴し安堵しております。

    いずれにしましても当拙文は、私の中の二つの記憶のmélangeでありました。

    「鷗外的」も「お茉莉的」も拙文には過分な御褒辞、「あつまれ ことのはの森」ご一家に叱られてしまいそうですが、今後も私なりに「言葉の楽園」を少しずつ押し延べて参りたいと存じます。とはいえ、一昨年と昨年の投稿数を較べて明らかなのですが、やはり巣籠もり許りですと新たな刺戟に乏しく、偶成するイメージも貧しくなるようです。文学以外の、音楽や美術やお芝居やが恋しくなってもおりますが、その反面、過去への沈潜が愈々と深度を増すようですから、そういう好時節だと思い定めてもおります。

    この一両日で遣り取りさせて戴いた文字数、あるいは過去最大ではないでしょうか? 私は夏休みなので大事ないのですが、ひいなさんは御睛のこともあります。呉々もご無理なさいませんように。「少年の夏の飲み物」の一つ、今日はディアボロマントを飲む元少年より。それぢや。

    追伸:
    何時も「贈り物」を頂戴して許りでしたから、お返しをと思いつつ、二度目も要約無しの独り善がりな形のものを差し上げてしまい恐縮です。ただ、真実そう思っておりますから、ご海容を請う次第です。

    2021年8月10日 17:46

  • 誰そ彼へのコメント

    首なしとか吸血鬼を想像しましたが、弥生がこの場をどう切り抜けるかは謎ですよね……。

    作者からの返信

    中澤樣

    ここ数日来、多くの★やフォロー、コメント頂戴しまして有り難うございます。
    当拙文は一時間という制約の中で、振られたお題と必須要素を盛り込んだ短篇を競い合う「即興小説バトル」という企画に参加した際の一作を改稿したものです。この後に弥生は如何なるのか、著者たる私もその時分は、そして今以て実は確とは考えてはおりません。如何なるのでしょう。

    私は首なしも吸血鬼も、なべて幽霊・おばけの類はへっちゃらなものですから、寧ろ早く私の眼前に現れはしないか、すれば屹度、遠慮無くドロップキックをお見舞いしてやる(出来もしない)のに……などと威勢の良いことを考えるのみならず、そう周囲に言いふらして何時も呆れられております。私はやはり、如何なる異形異類よりも、夕闇の窓に鏡を拵えて此方を凝視する人間の方に実際的なホラーを感じてしまう質のようです。

    2021年8月10日 17:23