第7話 ぼっちには拒否権は無いんですか

 気まずいなぁ。

 そう思いつつ彼と彼女は指定された席に向かった。


「さてと、全員揃ったことだし始めますか委員長」


「そうだな。それでは今年度最初の図書委員会を始める」


 各々が一礼し着席すると図書室当番の割り振りを改めて決めたり、今後の目標などを決めていった。


「よし、これで一応まとまったな。その他に何か意見や質問がある者はいるか?」


 誰も手を上げることも無く委員会が終了するかに思えた。


 「2年C組の者は残ってくれ、話がある」


 そそくさと帰ろうとしていた彼はやっぱりなと思いつつ委員長が座っている席に向かった。


 「呼ばれた理由はは分かっているな、蓮場」


「すみません、何の事か分からないんですけど...」


 「しらばっくれるな、堂々と遅刻してる奴が何を言うか」


「流石、2年C組の変わり者だけあって言動も変わってるねー」


 「おい松木、俺って他の人から見れば変人に見えるのか?」


 「まあ少数の人から見れば変わってる人と認識されてるかもね」


 彼は内心少し傷ついた。


 「その件はひとまず置いて、2人に頼みたいことがある」


「頼みたい事って何ですか?」


「来年度の委員長をどっちかにやってもらいたいんだよねー」


 正直、予想はしていたが委員長候補としては2年A組の岡野翔琉おかのかける君だと思っていた。


 因みに名は体を表すと言うが彼は足は速く無い。

 むしろインテリキャラであり、真面目で黒縁の細いフレーム眼鏡を愛用している。営業成績バリバリトップのサラリーマンみたいな人だ。


 「えっ、でも私は岡野君を委員長にすると思っていました」


 「私もそうしようと思っていたんだが、今日の委員会を通して気が変わった」


「もしかしてそれって蓮場の遅刻も関係してますか?」


 「まあ...関係してないとは言いきれないな」


「因みに拒否権というのは……」


「あるわけ無いでしょ、


「という事で近々また委員会を開くからその時までに決めておいてくれ。ああ因みにだが他の人たちには委員長の推薦という事でゴリ押しで納得させるから問題はないぞ」


 「まあ早くても校内体育祭が終わってから任せるつもりだけど、慣れない部分は私達がカバーするし」


「決め方は任せる。後は宜しく頼んだぞ」


 そう言い残して下野木先輩と副委員長らしき人達は、図書室から去って行こうとする。


「あっ、ちょっと待ってください委員長!まだ聞きたい事があります。どうしてその中に私も入っているんですか!」


 下野木先輩は、ばつが悪そうに答えた。


「まあ...その何て言うか...成り行きだ」


 そう言うと足早に行ってしまった。


「あー!もう最悪。どうして私も巻き込まれないといけないの。元を辿れば蓮場が遅刻してきたのが悪いんじゃん!」


「だってそもそもが今日の昼休みに委員会があるって教えてくれれば俺だって遅れずに済んだのに」


「だから!教えたってさっきも言ったじゃん」


「いや、俺は松木とは昨日の図書当番の時友達がいるかいないかという話しかしてなかった思うが」


「えっ、本当にそれだけだった?」


「ああ、それだけだ」


 そう首を縦に振と彼女が頭を抱えてうーんと唸り始めた。


 「あーそれだと蓮場に非は無いから強制的に私になるじゃない!」


 「まあ、考えてみればそうなるな」


「もう!蓮場には[俺が代わりにやってやるよ]とかそういう事は無いわけ?」


「いや松木がちゃんと当番の時伝えてくれて俺が忘れてたとかならまだ分かるが伝えられずに現状こうなっているからな。正直救いようが無い」


「そんなに言わなくても良いでしょ!分かったわよ!私がやれば良いのね。わーたーしーが!」


「別に強要はしてないんだが…」


「ふん!いいわよ別に。それよりも昼休み後5分で終わるけど昼食は食べたの?」


 彼はしまったと思いつつ委員会の後の話が余計だったと内心毒づいた。




























  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

恋愛ができない青年 輝琳 @orphen71

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ