最終話 年度末の別れと始まり  語り国村

「今日はみんなありがとう~!かんぱ~い!!」

「かんぱーい!」

無事免許を取り終え、星先輩の送別会に参加するため東京に戻ってきた。

「そういえば、野口くん次の会長はどうするの?」

「もちろん三上さんですよ!去年から実質三上さんが会長みたいなもんでしたし」

「えへへ、私で良ければ~」

「うんうん!結子ちゃん新会長にかんぱ~い!!」

「かんぱ~い!」

「坂下くんしっかり支えてあげてね」

「任せてください!」

「坂下くん、いつも足引っ張るからなあ~」

「星センパ~イ、最近三上さん冷たすぎるんですよ~」

「おいおい、そんなんで大丈夫なの?」

「大丈夫です先輩!1年生の子たちもしっかり成長してるんで!」

「みんなちゃんと漫画描けるもんね」

「星先輩は働きながら漫画描き続ける予定ですか?」

「う~ん、仕事に慣れるまでは描くの難しいかもなあ。仕事を疎かにするのもマズイし」

「そうですよね」

「ラフな下書きぐらいだったらともかく、ペン入れトーンとなるとね。まあ焦らずにね」

大学生になって1年しか経ってない自分にとって、社会人になるということがまだうまく想像できないけど、自分のしたいことを今楽しめと星先輩が教えてくれたような気がする。

「星先輩」

「ん」

「どうぞ」

「え」

野口先輩が花束とプレゼントを星先輩に渡した。

「えっ、うそ、えっえっ......うぅ~」

「あ~野口先輩泣かした~」

「いやいやいやいや」

「コラ~!野口先輩謝ってください!!」

「ひぃー!申し訳ありませんでした!!」

「ち、ちが、ちがう......うれしすぎて......うぅぅぅうぅぅぅ」

俺も含めて1年生組も2年生組も、星先輩との野口先輩の様子をニヤニヤと見ていた。

星先輩が喜んでくれて本当に良かったなあ。


「本当にみんなありがと~!また学校祭見に来るからね~!」

「ありがとうございました~!」

星先輩と野口先輩と別れて、

「いや~良かったね~。まさか星先輩が泣くとは思わなかったけど」

「びっくりしましたねー」

「弱みを出さない人だからねー」

みんなで駅の方へ向かい、三上先輩から来月からの新入生受け入れについて

「昨年みたいに部室開けっ放しで冊子置いて置く形でもいいのかなと思うけど、なにかいいアイデアがあればメッセージでじゃんじゃん出してね」

「了解です!」

「じゃあみんなお疲れ様~!」

「お疲れさまです!」

三上先輩と坂下先輩と別れ、1年生組で電車に乗る。

「よかったねー」

「俺も4年になったら泣いてるかもなあ」

「ふふふ」

「野口先輩大丈夫かなあ」

「どうだろう。まあ当たって砕けろでしょ」

「高岡さん辛辣~」

三上先輩の計らいで、星先輩と野口先輩を2人きりにして帰るようにしたけど、どうなることやら。

「じゃあ、また部室で」

「おつかれ~」

「お疲れさまです」

「お疲れさまー」

神崎くんと高岡さんと別れ、

「新入生の子何人来るんだろうなあ」

「どうでしょうねー、1人でも多くの人が入ってくれると嬉しいですね」

「そうだねえ」

「去年の今頃、大学生活うまく過ごせるかなと不安でしたけど、この1年楽しく過ごせました。新入生の人達もそう思ってくれるように、お手伝いできれば」

「真面目だなあ。俺なんか趣味の合う子が入ってくれればと思ってるぐらいだから」

「ふふふ。それも大事ですね。仲良くなって楽しめればいいですね」

「うん、もちろん漫画の方も頑張るけど」

「国村くんは2年生の目標とかありますか?」

「色々考えてるけど、そうだなあ......俺がまだ描いてないものを描けるようになりたいかなあ。漫画というか画力的な目標になるけど」

「なるほど......私も頑張らないと」

実はもう1つ目標あるけど.......

「五十嵐さん」

「?」

「これからもよろしく」

「......ふふ、はい、こちらこそ宜しくおねがいします」           (終)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

男女6人が語る漫画サークルのお話 ころころ @tokoyako

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ