私の二度目の恋の結末が死別だった話
S`zran(スズラン)
今から七年くらい前、当時中学生だった私はスマホをもらったばかりで、その勢いにかこつけてTwitterを始めた。
まわりのみんながやっているわけじゃなかったが、なんとなくやってみようという興味本位、好奇心だった。
そして、当時の私は同人ゲーム作品の東方プロジェクトにどっぷりハマっている人間だった。
そんな人間がまずはじめにTwitterでやることといえば、同じコンテンツを追う仲間探しだった。
自分の推しなどを明確にし、こちらから積極的にフォローしていって、気が付けば一年と少しでフォローもフォロワーも二千人を超えていた。
Twitterを始めて一年と少しくらい、たしか冬だったと思う(あとから調べたら秋ごろだった)。
そんな時に、私はあるアカウントと出会う。
『こぐっち』という名前で、自称社会人で同じ東方を推している子だった。
私は彼女(本当は男性だったかもしれない)と仲良くさせてもらっていたのだが、他の仲良しアカウントとは別の感情を抱いていた。
これが今聞くと非常に馬鹿馬鹿しいもので、実に子どもって感じなのだ。
当時を振り返っても、なぜかわからないが私は彼女に恋をしていた。
引いただろう? たぶん今の自分がそれを客観的に見ていたら笑っていたと思う。
だが、当時の私は真剣に彼女に恋していた。
というより、彼女の文字とアイコンに惚れていたのだと思う。
当時のTwitterではあまり珍しいことではなかったと思うが、アカウントどうしで血縁関係を結ぶようなことが行われていた。
どういうことかというと、例えば『嫁→@×××』『兄→@○○○』みたいな風にしていることが一般的だった。
単に私の周りにこういう人が多かっただけなのかもしれないが。
そういったものに、若いころの私は多少なりとも憧れるもので、知り合ってから数週間か一か月くらいで、私は彼女に告白をしたのだ。
今思うと、ストーカーとか粘着質なファンみたいだ。
しかし、当時の私は碌に学校生活も楽しめず女性嫌いが顕著で、男友達の間でも暴力を繰り返すことは珍しくなかったような荒れた人間だった。
そんな人間に優しくしてくれた女性、それだけでかなり救いだったし、チョロかったのだ。
あと、私が惚れやすい人間というのもあるかもしれない。
戻して、最初は曖昧な返事をされつつ断られたのだが、二度目か三度目かで了承してくれた。
当時の私は非常に嬉しかったのだが、今思うと彼女にとっては最後の思い出作りとかそういうものだったんじゃないかと思う。
それから数か月後、なんとメールでのやりとりをすることになった。
文字という点は変わらないが、どうもかなり近づいた気がして非常に喜んでいたのを覚えている。
出会い系で初メールに喜ぶ彼女いない歴=年齢かな。
しかし、その喜びもすぐに冷めてしまった。
なんと、彼女は持病持ちだと言うことを明かした。
詳しくは覚えていないが、心臓病だったと思う。
そして、その持病が悪化してきているということだった。
そのことで病院での生活が余儀なくされ、治る可能性の低いとも教えてくれた。
当時の私は嘘の可能性など考えず、本気で心配してなにかしら方法がないかと内頭をフル回転させて調べた。
しかし、現代医学でどうにもならないかもしれないことが、ただの学力の良くもない中学生にわかるわけもなく、手術をすればまだ可能性がある、レベルの事しかわからなかった。
自分はとても無力で、情けないと酷く落ち込んでいた。
なにもしてあげられなくてごめん、と何度も謝った。
彼女はそんな私を察してか、非常に明るく振舞ってくれた。
それに、手術もやってみると言ってくれた。
ただし、Twitterの更新が止まったらそういうことだ、とも添えられていた。
それからは私もいつか来る日まで楽しくやろうと思い、東方のことについて語り合ったりこんなイラストがよかったとか言い合ったりした。
そうして年が変わって一か月、いよいよその時がやってきた。
『もし治ったら、また仲良くしてくださいね!』
そんなことが、最後のやり取りだったと思う。
これ以来、彼女が戻てくることはなくなった。
私との関係を断ちたいがための嘘なのか、亡くなったのか、そもそも女性だったのか、いろいろと謎はあるが、彼女が女性である確信はある。
彼女の本名が女性のそれだったのだ。
偶然にも、私は彼女の名前を知ることになったためだ。
これが嘘という可能性もあるが、ここまでこった嘘をする意味もない。
私を騙して詐欺行為をしていたわけではないのだから。
今では、私は死別としてこれを片づけている。
今ほど時間が経てば恥ずかしい笑い話くらいにはなると思い書いてみたが、割と気持ち悪さが目立つ気もする。
ガチ泣きして、他の人に相談したくらいには真剣だった。
純粋だったのだなと思う。
以上が、私の告白である。
私の二度目の恋の結末が死別だった話 S`zran(スズラン) @Szran1717
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
恋愛小説 ♡ サロン最新/蓮条
★30 エッセイ・ノンフィクション 連載中 13話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます