最弱職業の風魔法使い

十番のいるか

第1話

物心がついた頃からおかしいとは思っていた


周りには鮮やかな色の髪や目を持っている人が沢山いるのに、自分以外の黒髪黒目は見たことがない


「どうして僕はみんなに避けられてるの?」

「それはね、みんながあなたの髪が綺麗すぎるから、近くに行って比べたくないんだよ」


「じゃあどうして怖い目で見てくるの?」

「……それはね、みんなはあなたに嫉妬しているんだよ」


そうやって言っても納得させることができるないことを親は知っている

ちっちゃい頃から子どもとは思えないほど頭が切れて、突然答えられないような質問を投げてくるからだ



ある日家を抜け出し、河原で一人で遊んでいると、近くに住むラスタがゆっくり歩いてきた

後ろにはラスタの子分のように、のそのそと2人ついてきている


「おい、。何でこんなところで遊んでんだ?見るだけで吐き気がしてくるだろ!なぁ!」

子分たちもそうだそうだとでも言うようにコクコク首を縦に振る


『黒忌み子?なんのこと?』


「お前みたいなのが村に居るから最近商人が来なくなってんだよ。村から居なくなれ!」

それだけ言って子分を連れて去っていった


頭の中でラスタに言われた言葉がガンガンと反響している

頭が痛くなりうずくまってしまう


入れ違いになるように母が探しに来た

大丈夫?とだけ言って顔を覗いた母は、泣き崩れた顔を見て、何があったのか瞬時に理解したように、

「とりあえずお家に帰りましょう」

とだけ優しく言って手を握った



その夜、母は隠していたことを話した


いつの間にか家の前に転がっていた赤ん坊のこと


黒髪は忌み子と呼ばれていること

ラスタが言っていたは黒目の忌み子を指すらしい


そして忌み子には魔法適性は1つしか得られないことだ


「あなたは凄い職業に就いて忌み子なんて言わせないようにするの」

母は辛そうに言う


「職業って何?」

「剣士や、魔法使いのことね。日常的に使う魔法をレベル1、レベル2以上は職業に就くと使えるようになるわ」


私もほらと言って、母がいつも料理で使うより大きな青い炎を指の先にちらつかせるのを僕は目を輝かせて見る


どうやら7歳になると神殿の就職の儀に参加できるらしい

まぁ忌み子の僕からしたらなんの意味もない儀式なんだけれど

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最弱職業の風魔法使い 十番のいるか @number10

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