ハプニング

私はツバキさんの経営する喫茶店でバイトをしている。

メイド服を着るのは初めてだ。可愛いリボンタイにフリルのついたカチューシャにエプロン。スカートの丈が短いのはツバキさんの趣味なんだろうか?お化粧もばっちりしてきた。素足にミュールを履いているので足が痛い。

休憩時間にはスマホを触れるのでツバキさんからのLINE も常に見逃さず、チェックしている。

「おかえりなさいませ…」

私は喫茶店に来るお客さん達に挨拶をする。しかも蚊の鳴くような声で。

そんな私を見てお客さんである若い男の人2人がひそひそと話をする。

「あの子、可愛くね?」

「でも声が小さいね」

私はそんな男の人達が嫌だった。そんな彼らを見てツバキさんがため息をつく。

「その子、俺の彼女なんだけど」

ツバキさんの一言で彼らは怖気付いて逃げてしまった。

呆然とたたずむ私を見てツバキさんが笑う。

「ユイコちゃん、ごめん。客逃がしちゃった…」

それなのに私もツバキさんにつられて笑う。

「大丈夫ですよ」

今日も頑張った甲斐があった。




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未完のラピスラズリ タラゴン @GOUKETU

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