第47話

【戦闘前会話】

アンジェ「もう!早く来なさいよ!じれったいわね」

アレスト「くくっ……向こう側も必死なのさ。それに砂の賊ならば量産できるからねェ……量で俺たちを押さえ込もうってわけだ」

ベノワット「向かって来るぞ!」

メルヴィル「チッ……ルイス!指示を!」


【戦闘後】


「第一部隊は壊滅させられたか……」

ベノワットがため息をつく。

「すぐに第二部隊が来るだろう。おい、ボンクラ。倒れそうなら後ろに下がっていろ」

「……そうは言ってもねェ……俺はあいつらが来たらあの断頭台に登らないといけないから……」

アレストの息が上がっている。

「……もう行け」

「え?」

「ここは俺たちに任せて、お前は断頭台に行け。父上はもうすぐ到着する。来た瞬間に目の前でしねばいいだろう」

「……」

メルヴィルの言葉にアレストがギュッと下唇を噛む。

「なんだ、行きたくないのか。そのためにあのとき父上を見逃したと自分で言っていたくせに。大陸のためにしぬ覚悟だってあると言っていただろう!!!」

メルヴィルがアレストの肩を掴んで、勢いよく突き放す。

「……従者サンがしんで、」

砂の上に尻もちをついたアレストがポツポツと話し出した。

「俺はもうあいつの顔が思い出せなくなった」

「……」

「だが、あんたたちもそうなるんだろう?俺は人より記憶能力がないから早く忘れちまうだけで、あんたたちもすぐに忘れちまうんだろう……。だったら、俺だって忘れられちまう。それは……嫌だ」

辺りがしんとする。

「チッ……」

メルヴィルがアレストの腕を掴んで、無理やりに立たせる。

「本当にバカだな」

「……」

「お前は生まれた時から記憶がおかしいから分からんのかもしれんが、しんだ奴のことを簡単に忘れるものか」

アレストが目を見開く。

「……忘れない。お前がどんなに悪い王子だと言われても、俺たちだけはお前の生き様を忘れない。だから、胸を張って……」

メルヴィルの言葉は途切れた。声が震えて出せなくなったのだ。

「ふふふ、悪いね。人間らしくしねなくてさ」

「アレスト」

「前にも言ったことがあるが、あんたは優しすぎる。今だって、俺に剣を使えないんだろう」

「……」

「いいぜ。それがあんただ。ありがとう」

アレストが柔らかく笑って、メルヴィルの肩を抱いた。

「あんたのおかげで決心がついた。最後に揺らいじまうなんて、俺らしくないねェ。さて、じゃあ俺は断頭台に行こうか。軍師サン、連れて行ってくれ。剣は一応あんたが持ってくれ。落としたりしたら困るからねェ……」

くくくくくっ……喉奥で笑って、ルイスに剣を預ける。

「ルイス!アレスト!第二部隊だわ!!!」

「チッ……こんなときに」

「ルイス!ペルピシ議会場は俺たちで防衛する!君はアレストを連れて断頭台へ行ってくれ!」

ベノワットの言葉に頷き、ルイスとアレストが断頭台へ急ぐ。

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