第10話 エピローグ



「おいジャック~もっと食べようぜ~」


「俺はもう十分食べたっての。他の奴らのところに行ってこい!」


「つれねぇなぁ~」


「疲れてんだよ。休ませろ」


「とか言ってどうせリリスちゃんとイチャイチャするんだろー?」


「……悪いか」


「お、珍しく素直だな。どうした、熱でも出たか」


「かもな」


「まああんだけ大技ぶっ放ってりゃ熱が出るくらい疲れるか」


「分かったらどっかいけ」


「へいへい」


 これ以上ペンドの相手をしていたら本当に体が保たないので追い払いつつ、同時にこの前のスタンピードのことを思い出していた。


 今思えば本当に信じられないくらい無茶をしたと思う。

 なんでボスを前にして助けを呼ばなかったんだと過去の自分を殴りたいくらいだ。


 結局、俺とリリスで放った奇跡の星ミラクルスターが見事にモンスターに命中しボス格三体は倒せた。倒せたが、いかんせん体力がもたずその場で二人してへたれこんでしまったのだ。後から外からみた人たちに聞かされたが、新手の敵が出たのかと疑うくらいの爆発が起きていたらしい。

 とはいっても五分か十分で最低限の体力は回復させ、二人で共にペンド達冒険者が戦っている場所まで戻ったが。


 その後はもうなんと言うか、圧巻の一言に尽きる。


 皆リリスの姿を確認するやいなや「おかえりー!」「大丈夫だったか!」等の言葉を投げ掛けたかと思えば、次は「俺達の意地を見せつけるぞー!」「気合いだー!!」とかいいだし俺達が加わる前に残っていた雑魚モンスターを一掃。



 ……うん。感心すればいいのか呆れればいいのかよく分からない結果となってしまった。


 やることがなくなってしまった俺とリリスはとりあえず最前線で戦っていた皆の元へ向かったのだが、「なんでここにいるんだよ!早く街へ戻って休め!」と言われてしまい一足先に帰ることに。



 ──あれ?言われた時は気付かなかったけど、結構理不尽なこと言われてない?


 気にしたら負け?はぁ、そうですか。



 まあいい。で、街に戻って色んな人に労いの言葉をもらったあとすぐに家に入って二人して死んだように惰眠を貪った。

 頑張ったんだからこれくらいは許してほしい。

 

 その後、家のポストにギルドから手紙が入っており、今度お疲れ様会やるから来てねと言われ現在に繋がるわけだ。


 振り替えってみると、なかなか波乱万丈なことをやっていたんだなぁーと思う。


 事の発端はリリスが居なくなったことで……ってあれ?

 俺まだ最初にリリスが居なくなった理由を聞いてなくね?


 ………………。


「おーいリリスー!」


「なーに?」


「あ、いたいた。ちょっと聞きたいことあるんだけどいいか?」


「ええ、いいわよ」


「では遠慮なく。なんの用事で北の森に行ってたの?」


「ああー、それね。……実は、これをとりに行っていたのよ」


 そういってリリスが見せてきたのは深い青と緑のとても綺麗な花だった。


 え?ちょっと待てよ?確かこれの花言葉は……


「「愛情、信頼、永遠」」


「流石だね、ジャック。しっかり花言葉を知ってたんだ」


「まあ、これくらいは」


「そっか……気付いていると思うけど、これをジャックにあげたくて」


「そのために北の森へ?」


「うん」


「そっ、か……」


 この花は基本、将来を共に過ごすと決めた人にしか贈らないような特別な意味を持つ花だ。それをリリスが俺に贈ってくれる。どうしよう。今凄く嬉しい。なんだか周りが俺達に注目しているがそれに反応する気も起きないくらい嬉しい。嬉すぎて言葉が出てこない。


「ねえジャック」


「な、なんだ?」


「この場で言うのもムードがないかもしれないけど、でも言わせて」


「……おう」


 するとリリスは一呼吸入れたあと、しっかりと俺の目を見て告げた。


「私は、あなたのことが好き。ずっと、ずっと一緒にいたい。あなたのことを放したくない。だから、」

「だから、この花を贈ります」


「受け取って、くれますか……?」


 そういうリリスの顔は、今までに見たことがないほど綺麗で可愛くて、とても美しいものだった。


 っと、俺も見とれている場合ではなかった。しっかり返事をしなければ。


 まあ、答えなんて決まっているが。


「──もちろんだ。これからもずっと、一緒に歩み進んで行こう」


 そして俺は、リリスが差し出した花を受け取った。


「ジャック……」


「リリス……」


 俺とリリスがキスする流れになったその時。



「ヒューー!イチャイチャしやがって羨ましいぞこんチクショウ!」


 周囲からヤジが飛んできた。


「おいペンド!ここは最後まで見守るのが普通だろ!」


「いやいや、こんなの見せつけられたら我慢出来ないって。なあ皆?」


 ペンドが周りに投げ掛けると一斉に答えが返ってきた。


「そうだそうだ!羨ましいぞ!」


「お前ばっかりリリスちゃんを一人占めしやがって!」


「俺達だってもっとリリスちゃんとお話したい!」


「あぁーもう!お前らいい加減に……ん?」


 なんだ、部屋の温度が下がった気がする。


「「「ヒッ!」」」


「あ?」


 ペンド達が揃いも揃って悲鳴をあげるものだからなんだと思えば、リリスが真っ黒なオーラを出していた。


「皆さん、私とジャックの時間を邪魔するとは良い度胸ですねぇ……!当然、その覚悟は出来ているのでしょうねぇ!?」


 うお、こわー。般若だよ般若。さっきの美しかった顔は何処に行った。


「うわあぁぁー!」


「逃げろー!」


「待ちなさーい!!!!」



「…………あーあ」


 走って出ていくものだから部屋の中がぐちゃぐちゃだ。

 全く、どうしていつも最後でこうなるのか。



 ま、それも俺達の日常か。

 リリスとはまた今度、ゆっくり過ごすこととしよう。俺達の時間は、まだまだこれからなのだから。



(完)


[後書き]

※タイトル変更を行いました。


これにて本作品は完結となります。最後まで付き合ってくださりありがとうございました!応援、とても嬉しかったです!


本作品はカクヨム甲子園に出すために書き始めたものです。(締め切りギリギリですがw)


普段はなろうで活動しており、こちらの操作に戸惑うこともありましたが無事に完結できて良かったです!今回みたいなイベントがあればまた小説を書くことがあるかもしれませんし、もしかしたらなろうに投稿しているものをこちらにも投稿するかもしれません。それはまだ決まっていませんが、また新たな作品を見つけた時には読んで下さると嬉しいです。


本当に、ありがとうございました!


                    by作者



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俺と彼女=最高の恋人で相棒! @iatti

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