第21話 これにて一件落着?

 それからしばらくして、湊から手紙が来た。


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一郎へ


 元気にしてる? 僕、ちゃんと一郎との約束守ったよ。親に言った。


 結局親に携帯取り上げられちゃったけどね。ゲイと関わるのもやめろって言われちゃった。僕が今度、男同士でエッチしたら家追い出すってさ。


 でも、僕は全然平気。もし、そんなことになったら一郎のとこに行けばいいだけだからね!


 親、警察に通報するって大騒ぎして、警察沙汰になっちゃった。あのおっさん捕まったよ。新聞にも小さな記事になったの、もう読んだ? 被害者の「男子高校生」って、あれ、実は僕だったりするんだ。まだ高一なのに全国デビューしちゃったよ。

 

 高校の担任にも怒られた。ここんとこずっと怒られてばっかりだ。一郎だけは僕に優しくしてくれるよね?

 

 あ、そうそう。僕、今の高校辞めることにしたよ。こんな事件になって、噂も広まって結局居づらくなっちゃって。でも、僕、実は転入する高校に行く方が今は楽しみ。なんでだと思う? 実はね、僕の行く高校、嶺くんの高校なんだ。偶然だけど、びっくりだよ。今度、嶺くんの携帯借りて一郎に電話しよっかな。


 また今度、一緒にあそぼ。いつにする? 一郎の暇な日、教えてよ。今度は僕んちに泊まりに来てもいいよ。もちろん一郎がゲイだってこと秘密にしとくから、安心してね! じゃあ、またね。


                                     湊_________________



 僕はこの手紙を受け取ってだいぶ安心した。嶺くんの高校に転入するっていうのは、僕もびっくりだけど、ベストな選択だと思う。嶺くんなら、湊とうまくやっていけるはずだ。


 翔はといえば、湊が僕んちに泊まりに来たことを知り、暴れ回った。


「あの野郎、俺がいないことをいいことに・・・。あいつ、絶対に許せねえ!」


翔は本当に地団駄を踏んで怒った。


「まぁまぁ、結局うまくいったんだし、結果オーライってことで」


僕はそんな翔をなだめにかかる。


「何が結果オーライだよ! 一郎、お前絶対に気を付けておけよ。湊は要注意人物だからな」


「気を付けるって何を?」


「お前、本当に鈍感だな。湊、お前のこと狙ってるだろ、絶対に」


「まさか! そんなわけないって」


僕はそんな翔の戯言を笑い飛ばした。


「湊が僕にじゃれついてくるのは、湊がそういう性格だからだよ。僕も最初は馴れ馴れしいなって思ってたけど、慣れて来ると意外に可愛いよ」


「はぁ?」


翔は烈火のごとく怒った。


「可愛いって本気で言ってんのか? お前、湊に気があるんじゃないだろうな」


「そんなわけないじゃん。僕にとっての彼氏は翔しかいないよ」


「じゃあ、ここでそれを証明してみせろ」


「証明? どうやって?」


「こうやるんだよ!」


翔は僕をベッドの上に押し倒し、乱暴に服を脱がせた。証明って、結局ヤリたかっただけかいっ!


 だけど、嫉妬に狂った翔の今日のエッチはいつもに増して激しい。というか、僕に対して当たりが強い気がする。


「おら、もっとケツつき出せ!」


「もっと声出して喘いでみろ」


「さっさと舐めろ!」


そんな罵倒が飛んでくる。ちょっと翔、怖いよ。でも、この支配される感じも悪く・・・いや、僕、何考えてるんだろう。本当に翔の湊に対する嫉妬癖もひどいよな! やってらんないよ、まったく!

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