第5話 どきどき!オシャレ体力測定

プロ試験開始前スタジアム通路




ノボル「緊張するな…ついさっきオシャレファイトの事を知ったばかりの俺がいきなりプロ試験なんて、やっぱり無理じゃないかな…」


ここに来て不安を漏らすノボルにカマーはあるアドバイスを贈る




カマー「ノボル、今のあなたのオシャレ力は私のメイクによって6万にまで引き上げられた、本当はもっと時間があれば良かったんだけど…それでもプロ試験の参加資格はオシャレ力2万から、あなたなら優勝を狙うのに充分過ぎる値よ、あなたには才能がある!私の才能を見抜く眼を、そして自分自身を信じなさい」




ノボル「…分かりました、頑張ってみます!」




カマー「私も観戦シートから見守ってるから、頑張ってね」


そう言うとカマーはVIPルームへと入っていった




カマー(矛盾するようだけど、オシャレ力は目安に過ぎない、一瞬の気の緩み、爆発的なオシャレ力アップでいとも容易く覆る、油断は禁物よノボル…)










そして遂にどきどき!オシャレ体力測定が始まろうとしていた


アナウンサー「それでは、出場者の皆さまには動きやすい服装に着替えて頂きましょう!」




VIPルームから見守るカマーに不安が走る


カマー(オシャレ体力測定…各自用意された体操服に着替えて行う試験、いきなりノボルのアドバンテージであるヴィンテージアイテムが使えないなんて…大誤算!しかもこの試験もちろん単純な体力測定ではない…ジャージのチャックを完全に空け露出を増やすか、上まで閉めるか、裾を捲るか捲らないか、小物の赤白帽、ハチマキのチョイス、リストバンドの有無など、限定された条件の中どれだけ自分らしさを表現出来るかが問われている!この試験オシャレ初心者のノボルにとってかなり不利な戦いになる…!)




アナウンサー「それでは出場者が着替えている間に応募総数18000人から、書類審査、オシャレ力測定を勝ち抜いてきた注目選手の紹介だ!」


会場のスクリーンに3Dホログラムが浮かび上がる




アナウンサー「No.38田中タナトス太郎!オシャレ力23671!プロ試験8回目の常連だー!今回こそ合格なるか?1000万円の使い道は全額ビットコイン!」




アナウンサー「No.84雛咲なな!オシャレ力25806!なんと現役女子高生がプロ試験に殴りこみだ~!若さを最大の武器に変えて合格出来るのか!?1000万円の使い道は貯金!」






アナウンサーの選手紹介がスタジアムにこだまする、そして、それに呼応するかのように観客席も熱を帯びはじめる




VIPルーム


モブ光國公「隣の席いいかのぉ~深雪ちゃん」


カマー「えぇどうぞ…って私の本名…じゃない…」




カマーの席の隣に座り変装をバリバリと剥がしていく老人


カマー「…か、会長!!??どうしてこんな所に…!?」




会長「なに、可愛い孫娘を見にきたら面白そうな男がいたのでな…ふぉふぉふぉ!まぁ気紛れじゃよ」




カマー(オシャレファイト協会会長!オシャレファイト創始者にして初代オシャレマスター!オシャレファイターならその顔を知らない者はいないほどの超大物!まさに生きる伝説!自ら一線を退いた後は雲のように表舞台から消え、その後は隠居したと聞いていたのに…どうしてこんな所に…!)




会長「現役女子高生じゃって若いっていいのぉ!ピチピチしとるわ」


カマー「…そ、そうですね」


カマー(見た目はそこらへんにいるおじいちゃんにしか見えないのに…何?このカリスマ性!圧倒的オーラは…!オシャレ力50万?いやそれ以上?私の審美眼を持ってしても全く見当がつかない…!)




会長「気になるなら見て見ればいいじゃろ、ほれマジカルアイシャドウじゃったか?」


瞬間空気が凍りつく


カマーの首筋に金属の冷たさが音も無く押しあてられる


静かに両手を上げるカマー




会長「あぁ、いいっていいって別に減るもんじゃなし」


会長の指示でナイフを下げ、失礼しましたと軽く頭を下げる黒服の側近達


カマー(全く気配がしなかった、一緒の部屋にいた事さえわからないなんて…)




会長「で?どうする?みてみる?」


まるで自慢の骨董品を見せびらかしたい、おじいちゃんのような雑じり気のない笑顔がそこにはあった


カマー「いえ…遠慮させて頂きます」


無理に笑い、ひきつった笑顔のカマー




会長「そうか、残念じゃの…」






アナウンサー「今試験最強のダークホース…No.348異仲ノボル!なんとオシャレ力は測定不能!それもそのはず、この男、頭の先から爪先までオールヴィンテージ~!!締め切りギリギリでビューティーメーカーカマーの推薦で飛びこみSEED参加だ~!!」




観客「ざわざわ…ざわざわ…」




会長「おぉ…若いのぉ!わしの若い頃を思い出すわい、過去からの訪問とは嬉しいのぉ」


カマー(!!!ノボルの事がばれている…いやこの会長なら知っていて当然?会長が見つけた面白い男はノボル以外考えられない)




会長「わしにもあのくらい若い頃があったんじゃのぉ~」




アナウンサー「さて参加者の準備が整ったようです!」


アナウンサー「今回、参加者が選んだ体操服は各メーカーの最新モデルとなっております!機能だけでなく徹底的に洗練されたデザイン、フォルムが見る者の目を奪う!そんなオシャレな体操服を一番に着こなす者は誰なんだ!」




参加者は各々自分のセンスを信じ体操服を着こなしていく、あるものはジャージの上着を腰で縛り、またあるものはあえてピチピチのジャージをきて胸元を強調して、はだけさせる




そしてノボルは県立田舎工業高校の体操服を身に纏い現れた


ノボル「ボストンバッグに服が汚した時用に高校の体操服を入れておいて良かった!毎日山道を登下校して(片道2時間)体力には自信あるし、なんとかなるかもしれない!」




アナウンサー「おーっと!348番まさかの自前の体操服だ!しかも、またもやオシャレ力は測定不能!ヴィンテージ男抜かりありません!これは高得点に期待出来る!」






そしてその後ノボルは50m走、なわとび、腹筋、背筋、腕立て伏せを1位通過していく事になる




観客「み、見える…彼の薄汚れた体操服から高校3年間の想い出が…青春の日々が…」


観客席は涙を流す者で埋め尽くされていた




そして会長はノボルそっちのけで女子高生の揺れる胸元を凝視していくのだった








一次試験1位通過348番!異仲ノボル!






観客「うぉー!!!!」

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オシャレファイターノボル! @yuske

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